Pipette Vol.10
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2臨床教育研究所『虹』を主宰するとともに大学で教えながら、子どもと教育・いじめ問題などにも積極的に取り組み、マスメディアなどで活躍中の「尾木ママ」こと尾木直樹さんにお話をうかがいました。聞き手 坂本 秀生 (神戸常盤大学 保健科学部医療検査学科 学科長) (日本臨床衛生検査技師会 国際WG委員)「臨床」という言葉の重み―医療現場で働いている私たちにとって「臨床」というのは、患者さん、そして、そのご家族を指します。「臨床教育学」という言葉を知り、新鮮です。ぼくが臨床教育研究所を立ち上げたのは1994年。ネーミングをどうしようかと考えたときに、やはりこだわったのは「臨床」という言葉なんです。日本では、あまりにも学校が「集団教育」だとか、「一斉教育」というところに力点を置きすぎていて、教育は「一人ひとり」のためのものであるという視点がすっぽりと抜け落ちているんです。服装がきちっとしているとか、行進しているときに足が揃っているとか。でも、グローバルな視点で捉えたときには、そんな表面的なことはどうでもいいことでね。そういうことが、どれだけ多くの子を苦しめているか、また、それがいじめのきっかけにもなってしまっている。ぼく自身は、現役の教員時代から「一人ひとり」というところに目を注いできたんです。そのほうが、子どもたちは、はるかに爆発的なエネルギーを出すんです。いじめなんかも起きない。これは実践的にやってみて、確信を得ていました。1988年に、心理学者として著名な河合隼雄先生が日本で初めて京都大学で臨床教育学の講座を開いたんです。ぼくは研究所を開くと決めたときに、「臨床教育研究所」だけではアカデミズムに入ってしまうし、そうではなく現場と研究者とか、現場とマスコミとか、日本と世界との間をつなぐ架け橋になりたいということで『虹』とつけたんです。あくまでも教育は臨床なんだということです。―今、医学の分野でも、トランスリレーショナル・リサーチということで、実際に患者さんの役に立つ研究をしようということですが、そのかなり先を先生はやっておられたと

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