Pipette Vol.10
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●グッジョブ・技師のお仕事ゲスト 尾木直樹5わけでしょう。それを自分がこれからなろうとしている臨床検査技師という仕事に、どのように結びつけていくのかということです。たとえば、患者さんに向き合ったとき。患者さんは不安を抱えて来ているわけですよね。検査をするだけかもしれませんが、「採血しますよ」と言うときに、どんな声かけと表情で対応するかで、患者さんの安心感はまったく違うでしょ?だから、そこで信頼感を勝ち取れるような技師になるための教育が必要ですね。単純なスキルの問題だけでなく、思想の問題というか、生き方の問題であったり、職業観の問題であったり、もっと深く言えば、人間観の問題だと思うんです。あるいは患者観の問題というか、そういう「観」のところが深まっていくのは一般教養だろうと思います。―本学も医療職であるからこそ、一般教養にも力を入れて、感性を持った医療職を育成しています。たとえば医師にしたって、どんなに医学的な技術が高くて、知識がたくさんあっても、人としての患者さんとの向き合い方が重要でしょう?小児科にかかるお母さんたちの一番の苦情は「先生が顔を見てくれない」なんです。先生は常にパソコンに向かってしゃべっている、と……。―電子カルテの弊害ですね。お母さんの顔を見て、「大丈夫です、昨日から熱が5分下がっているから、治る一歩手前ですよ」ってニコッとしながら言えば、安心感は絶大ですよ。そこが大事だということが伝わる講義や研修の場が必要だと思います。―技師会では、今、「検査の説明・相談ができる技師」を育成しようとしています。検査の前の説明や、検査の結果についても、医師に代わって説明しようと。全国で講習会をやっていますが、そのカリキュラムにコミュニケーションや心理学を入れています。とくにカウンセリングの理論は不可欠だと思います。昔は、「痛いのは当たり前でしょ」「薬は苦いものよ」と言っていたんですからね。歯医者さんにも、「この痛いのを我慢しないと、もっとひどくなるぞ」と脅かされて、「はーい」と言っていましたよね(笑)。今は違うんです。「薬なんて飲みたくないわよねえ」と言ってまずは共感すること、これが絶対的に大事です。共感されると人間は気持ちが楽になって元気になるんです。心が元気になれば、「でも、先生、飲んでみますよ」と自分から言えるようになります。そこで、「頑張りましたね」って褒めるんです。そう褒められたら、もっと頑張ってみようとなりますよね。この呼吸が大事だと思います。グローバル化への対応―臨床検査技師のグローバル化ということで、世界を見据えたいろいろな活動をしていて、28年ぶりに神戸で世界医学検査学会が開催されます。臨床検査に限らずグローバル化という点はどのようにお考えでしょうか。日本の教育についてグローバルに考えたときに、一番の問題は大学まで一直線でやり直しがきかない、バイパスがないことでしょうね。しかも偏差値で輪切りにされて、高校3年で偏差値70だったら東大の医学部だと。こもっと深く言えば、人間観の問題だと思うんですあるいは患者観の問題というか左:患者役 右:検査技師役(日本臨床衛生検査技師会主催の検査説明・相談育成講習会におけるロールプレイ)

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