Pipette Vol.10
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●グッジョブ・技師のお仕事ゲスト 尾木直樹7持っている能力はすばらしいですよ。一人ひとりが本当に可能性の塊なんです。ぼくは、いつもゼミ生を選抜するときに、たとえば「ネトゲ廃人」(注・インターネットゲーム中毒者)のような変わった子を必ず入れます。そしてゼミの中で、プリントを配るような仕事を与えます。彼がプリントを配ると「ありがとう」って他の学生が言うでしょ。そうすると、これまで人との関わりが少なかった彼も「あれ?意外と気持ちがいいなあ」とわかるんです。そういう中で、先生が目をかけてくれているというのを感じると、たとえばぼくが講義の中で「こんな本を読んでみるといいよ」って参考文献を紹介すれば、他の学生は誰も読んでなくても、彼は読むんです。そして、どんどん力をつけていくんです。そういう子が目覚めたときには凄まじいものがあります。今年のゼミの4年生は3年のときに、10人いるうちの9人がオランダへ10日間の教育視察に行きました。オランダの教育は世界のトップレベルですから。夏休みにアルバイトをして旅費を稼いで、計画もすべて自分たちで行い、帰国後は立派に研究成果を発表してくれました。―学生の間にオランダのような教育先進国に行くと、変わって帰ってくるんですね。ものすごく変わりますね。教育学の知識が深まり、研究に対するモチベーションが上がることはもちろんですが、一方では語学ができないことに打ちひしがれて帰ってきます。小学校で授業を見せてもらっても、子どもたちはオランダ語ではなくて英語で話しかけてくるでしょ。言っている意味はわかるけど、とっさに言葉が出なくて答えられない。「大学生にもなって小学生に対応できないなんて」と。それで英語をやり始めるの(笑)。海外の空気を吸うことは絶対に大事です。その間、休学などをしなくてはならない場合には、就職に響くとかいろいろ言われるけれども、そんなことは問題じゃないと伝えています。そうすると、みんな、短期であれ長期であれ、留学しますね。―日本臨床衛生検査技師会でも1週間ですが、本年度から米国短期留学を支援するようになりました。その体験は生きるだろうと思って進めています。それは本当に大事だと思います。ぼくの娘も10年以上、アメリカに仕事に行っていて帰ってこないから、アメリカの何がいいのかって電話で聞いたことがあったんですよ。そうしたらとにかく働きやすい、と。たいしたことをやっていなくても、「サンキュー」って言ってくれるし、褒めてくれると。日本の会社にいるときと違うと。そういった違いを肌で感じることはとても重要ですよね。18歳選挙権にどう向き合うか日本はあまりに閉鎖的な島国で、周りが見えていない。教育は最低レベルで、国連から何回も改善するよう勧告を受けています。18歳選挙権にしても、現在、18歳までに選挙権を与えているのは、197カ国ある中で176の国・地域ですから、今ごろになってやっと年齢引き下げが決まった日本は大変な後進国です。―この選挙権の問題にしても、あまり教員は積極的に教育してはいけないと。政治的な中立を侵したらペナルティを与えようという議論が、今、されています。「政治的中立」というのは、日本的な解釈です。現場では、教えてはいけないという圧力になってしまうんです。現実に起きている安保法制のことでも、話題にしただけで偏向教育だとか、中立性を侵したということになりうる。グローバルな基準で言えば、「先生は、今

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