Pipette Vol.11 Spring 2016
6/12

6臨床検査技師の可能性宮島 先生からご覧になって、私たち臨床検査技師は、どれくらい認知症に対して可能性を持っていると思われますか。浦上 私は活躍の可能性は無限にあると思っています。一番は、何といっても髄液中のリン酸化タウ蛋白がアルツハイマーの診断に有用だということで、保険点数もつきました。そのほか、脳波検査などの従来からやっている検査が、認知症の診断や治療の評価に非常に役に立つわけです。それから、認知症というのは、1つの職種だけで対応できる病気ではないということです。あらゆる職種が協力して、力を合わせて、認知症の方や家族の方々を支えていく、支援していくことが求められるわけです。世の中では医師不足、看護師不足といわれていますが、臨床検査技師の方に加わっていただくことが、チーム医療の観点からもきわめて重要なことだと思っています。宮島 私どもは技術者集団として、これまでは狭い領域を究めるという姿勢がどうしても強かったんですが、チーム医療の時代になると、あらゆる疾病に対して自分たちがどんな立場で協力できるかを考えるようになってきています。認知症領域検査技師宮島 先生が構想準備され、一昨年に検査技師会が制度を発展的に継承した認定認知症領域検査技師制度においては、多くの会員に参加してもらおうとしていますが、どのあたりまで勉強すればよいでしょうか。浦上 臨床検査技師が自分たちでやった検査の結果を説明できるという時代に入ってきています。認知症という病気を正しく理解して、認知症に関連する多くの検査をやっていただけたらと思うのです。ご家族から、患者さんに関して何か質問があった場合に、それに対してしっかり答えるためには、自分が行った検査の結果だけの説明では、納得していただけないケースも多いと思います。そういう意味では、認知症というのはどんな病気なのかを、多くの国民にまだ正しく理解していただけていないので、まずは臨床検査技師の方々に、認知症とはどんな病気なのかをしっかり勉強していただきたいですね。その上で、検査技術に対する知識やスキルを身につけていただくのがいいのではないかと思っています。宮島 検査技師養成の学校教育の段階から課題があるようにも感じています。浦上 まだまだ少ないと思いますが、学校教育の中でも、そういった視点を取り入れていくべきだと思っています。私が平成13年に検査技術学専攻の教員になって、検査技師教育を始めたころは、教科書に脳血管性の認知症のほうがアルツハイマー型より多いといった昔の誤った記述があったり、治療薬ができているのに「治療薬はありません」と書かれていました。今、認知症はどんどん増えてきている病私は活躍の可能性は無限にあると思っています。認定認知症領域検査技師制度指定講習会風景(平成28年2月20日〜21日)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 6

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です