Pipette Vol.12 Summer 2016
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7●グッジョブ・技師のお仕事ゲスト C・Wニコルエコノミークラス症候群も怖い宮島 熊本の震災でも、車の中で過ごしている被災者が多く、延べ400人日ぐらい検査技師を派遣して、避難所でエコノミークラス症候群の検診を行いました。ニコル エコノミー症候群は、怖いです。ぼくの友だちは、脚に血栓がたまってしまって、50歳で脚をなくしてしまいました。だから、ぼくは8時間以上のフライトでは、エコノミークラスは駄目!ビジネスクラスでないと(笑)。宮島 とにかく、同じ格好でいるというのは駄目ですね。 ニコルさんは、熊本の方々に対し、どのようなお見舞いの言葉をかけますか。ニコル ………………ああ、言葉がない。東松島のときは、「手伝って」って言われたので、ずっと寄り添ってきました。熊本の被災者の方々の気持ちは実際にわかっていないかもしれませんが、ものすごく感じています。最後の癒やしは絶対に自然です。それに目覚めた日本は、アジアの「エデンの園」になると思っています。何もない料理とはニコル ぼくが今いちばん心配しているのは、日本の子どもたちがあまりにも自然から離れてしまって、「自然欠乏症候群」になっていること。自然とずーっとつき合ってきた、ひいおじいさん、ひいおばあさんたちは、ものすごく力強い〝立ち直る力〟がありました。今は、蛇口を捻ったら水が出る、スイッチを押したら光がつく、誰かがケガをしても電話をすれば助けに来るんです。でも、昔はそうではなかったから、お互いに助け合った。そういう社会でした。ぼくは、54年前ですから、そういう社会がまだ残っている最後のころに、田舎に来たんです。お財布をベンチに忘れて、次の日に行っても、そのまま残っている、そんな治安のいい、安全な国でした。格闘技をやっていたから、他の国では喧嘩をしたけれども、日本では喧嘩らしい喧嘩をしたことがないし、喧嘩もない国でした。でも、だんだんと自然から離れたら、日本の精神が崩れるのではと心配していまサウンド・シェルター森の音を楽しむ大きな耳のようなもの。前で焚き火をすると虫も寄ってこない。トラウマを抱えた子どもたちも、ここに入ると怖くない。後ろも横にも壁があって守られている感じになるから。子どもたちが30人くらいは入れる。東松島「森の学校」にも同じものをつくった(ニコル)。写真上:焚き火の後ろから、ぼくが小声で物語を聴かせても子どもたちに届くよ(ニコル)写真中左:普通、欧米人の距離感はこんなもの(ニコル)写真中右:でもね、焚き火があると人はこんなに近づくことができる(ニコル)森の入り口に建つ「アファン・センター」

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