Pipette Vol.20 Summer 2018
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12JAMTトピックス12一般社団法人日本臨床衛生検査技師会では、臨床検査技師が行う業務範囲の拡大に取り組んでいます。◆4万名以上が受講修了平成27年4月に施行された臨床検査技師法の改正(以下、「新臨検法」)を受け、当会が主催する『検体採取等に関する厚生労働省指定講習会』は、平成30年5月末時点で4万2000名の臨床検査技師が受講修了しました。当会ではこの講習会事業を平成31年度までの5カ年事業計画として取り組んでいます。この講習会では所定の800分のカリキュラム(下掲)を2日コースで学ぶものです。これまで医師や看護師が担当して法的に行えなかった一部の検体採取業務について、新臨検法ではチーム医療の観点から臨床検査技師も行うことができるようになりました。◆未修了者の受講促進をすでに当会の全会員が受講修了している医療施設がある一方、修了率の低い医療施設も存在します。受講者アンケートなどの分析では、「施設内の方針や上司(施設長や検査部門長)の姿勢」を主原因とする施設間格差と推測されます。すでに臨床検査技師の国家資格を有する者が追加された業務を実施するためには、この講習への参加が必須となります。仮に受講を修了していない臨床検査技師にこの検体採取業務を命じた場合、施設長や検査部門長も「受講義務違反」に問われるため、法の趣旨の理解と注意が必要です。臨床検査技師を雇用するすべての医療施設で、職場上司による受講指示や受講のための業務調整、受講状況の確認、受講援助策の検討などを行っていただくことが有効です。◆新卒者は受講修了扱い平成28年4月以降に臨床検査技師養成校に入学した学生は、新臨検法に呼応して2単位(「人体の機能と構造」「医療安全管理学」の各1単位)がすでに追加されています。未受講の既卒者と今後の新卒者では行える業務範囲が異なるという事態が発生することになるため、一層の注意が必要です。なお、この講習会の修了証は、厚生労働省医政局長名ならびに当会代表理事会長名の連名で発行され、臨床検査技師国家資格の範囲拡大を証明するものとなります。カリキュラム内容 臨床検査技師法に関する法的知識及びその責任範囲、医療倫理(50分)/微生物学的検査等における検体採取に必要な知識・技能・態度(皮膚表在組織185分、肛門部135分、鼻腔・咽頭185分)/味覚・嗅覚検査に必要な知識・技能・態度(135分)/検体採取及び味覚・嗅覚検査のシミュレーション(60分)/確認試験(50分)検体採取は臨床検査技師の業務です「臨床検査技師」って? 季刊誌 ピペット 発行月 平成30年7月 Vol. 20 夏号 発行元 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会    〒143-0016 東京都大田区大森北4-10-7電話:03-3768-4722 FAX:03-3768-6722pipette@jamt.or.jpJAMTとはJapan Association of Medical Technologistsの略です。昭和27年に日本衛生検査技術者会という前身組織が設立されて以来、66年の歴史を有する職能団体です。★本誌を施設内のコーナーに常置して来館者の方に無料領布いただける施設を募集中です。http://www.jamt.or.jp/books/pipette/本誌のバックナンバーは電子ブックでお読みいただけます!ムラコニミ★認定臨床染色体遺伝子検査師認定検査技師 Vol.4最近、報道などで遺伝子や染色体という言葉を聞く機会が増えました。この言葉は、生物学の専門的な用語ですが、今や多くの人に知られる言葉になりました。認定臨床染色体遺伝子検査師制度は、専門的かつ高度な資質を持つ検査者を育成することを目的として、2007年に日本臨床衛生検査技師会と日本染色体遺伝子検査学会との合同で発足されました。この認定では、遺伝子疾患、がん、先天性異常、家族性腫瘍、分子標的治療、感染症の染色体や遺伝子の検査を扱います。今後、大いに期待される分野の検査ですが、専門分野における高度な知識と技術を持った認定技師が検査を行うことで、検査結果の信頼性や精度が保証されます。(I)

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