Pipette Vol.20 Summer 2018
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2いつも明るくさわやかなイメージの俳優・渡辺徹さんに、大病を経て、妻である榊原郁恵さんとの絆を深くされた経験とコミュニケーションの大切さについてお聞きしました。ゲスト 渡辺 徹聞き手 石川 真由美(総合病院 水戸協同病院 検査部)ダイエットとリバウンド―体重が約2倍になったのですね。不規則で忙しい生活の結果ですが、結婚式の日が僕のピーク体重です(笑)。新人刑事の殉職シーンでボス役の石原裕次郎さんが回想するんですけど、なんのことはない、僕が太っていく過程の映像でした(笑)。こういう仕事をしていますから、いろいろな方からこれはいいというダイエット法を勧められました。新妻の郁恵も勉強しますし、すべて挑戦しましたね。酢の物だけとか、毎食ゆで卵を食べるとか、バナナダイエットとか、さらにはドイツ軍が使用しているプロテインダイエットまで。スポーツジムも同時に3つ入ったりとか(笑)。ダイエットは効果は出るのですが、目標を達成して喜んでいると、安心してリバウンドが来る。ダイエット成功の自信もあるので、少しくらい太っても、またやればいいと油断が出てしまうんです。元気のありがたみそのうち仕事場で心臓がどきどきする、不整脈みたいな症状だなと思って、病院にかかると、糖尿病と診断されました。30年前くらいの話ですが、これはしまったと。管理栄養士の指導を受けたり、妻はしっかりやってくれるんですが、劇団の旅巡業などではどうしても飲み歩いたりしてしまう。糖尿病の定期検査でも、調子がいいときは行くけれども、調子が悪いときは検査結果が悪いと怒られるし、いやだなと足が遠のいてしまう。―私は糖尿病療養指導士の資格も持っており、患者さんのそのようなお気持ちは理解できます。妻とも話して反省し、体重も減って検査もきっちり受けるようになったころに、あるとき、疲れが抜けない、人より歩きが遅いという症状が出ました。どうにもおかしいなと感じ、スタッフからも顔色が悪いと言われるようになりました。そのうち、妻の判断で舞台からの降板が手配されてしまい、やむなく近くの知り合いのクリニックを受診すると、即座に専門病院の精密検査を勧められ、救急車で大学病院に運ばれて検査すると、心臓の冠動脈の1本が完全に詰まっているという診断でした。虚血性心疾患、いわゆる心筋梗塞です。ステント手術は無理だからバイパス手術を勧められました。―ダイエットを行い、リバウンドを繰り返す生活は、食生活の乱れが背景にあったということですね? 蛋白質や油分を取りすぎていたことが考えられますので、動脈硬化を招き心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすい状態になっていたのですね。舞台をこれ以上休めない事情もあって、別の病院を紹介いただき、カテーテル手術をしました。患部の両方から2本カテーテルを入れての手術でした。全身麻酔ではな 高校時代は生徒会長として、茨城県内の生徒会と「高校生の集い」企画を成功させ、〝皆で創り上げること〟の魅力に目覚めた徹さんは、高校卒業後に演劇界の「東大」とも称される文学座の入所試験を受験して合格。その1年後には人気TVドラマ『太陽にほえろ』の新人刑事役に抜擢されました。演技の壁にぶつかりながらも奮闘し、撮影のストレスに負けまいと「人一倍元気そうに食べる爆食い」の結果、デビュー時に69キロだった体重が、郁恵さんとの結婚時には130キロになってしまいました。

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