Pipette Vol.20 Summer 2018
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4き、夜中であろうと何時でも、妻が背中をさすってくれるし、子どもたちもさりげなく心配してくれる。つまり、自分が家族を苦しめている、家族の心を不健康にしていると気づいたからなんですね。検査にちゃんと行く、体調管理をしているという姿勢が、家族に対して、「あなたたちを大切に思っている」というメッセージになると実感しました。―奥様の食事面のサポートも立派です。妻は僕以上に頭を悩ませていたと思うんです。勉強しすぎて迷路に入ってしまうこともあります。何を作ったらいいんだろうかと。やはり、家庭でアレンジしたものは専門家にチェックしてもらうというキャッチボールの関係がいいと思います。専門家につながっていると安心できます。どうも社会自体が白黒をつけたがるというか、白いものも少し黒くなると黒だとバッシングされたりしますね。僕は白もあれば青もピンクもあるという具合に、彩りが必要ではないかと思います。美味しいものを食べたいから、楽しみのためにやるという姿勢があれば、苦しさというのは消えていく。毎食、軽量カップで測っていると、食事そのものもつらくなってしまうんです。こうしたことも夫婦で学んできたように思います。人生後半の人間力僕が病気になって同級生から励ましも来たのですが、よく聞くとみんなもどこか患っているんですね。長く生きると人間は体に不具合が出てきますが、悲観するのではなく、不具合を受け入れて上手に付き合えるかどうかで、人生後半の人間力が試されると思うようになりましたね。僕の体験では、誤解を恐れずに言えば、病院って何をしてくれるところかと言えば、検査をしてくれるところだということです。まめに病院で検査をしていると、そのうち知り合いになって、「やあ、どうも」という関係になります。検査結果を先生がパソコンで見て、「こうしましょう」という形なので、病院で過ごす時間の大半は検査です。臨床検査技師の皆さんのお世話になっている。体調が悪くて心も弱っている患者側としては、接する臨床検査技師の方の表情とか態度にも影響されますから、大切なお仕事だと思っています。皆さんを頼りに生きていますので(笑)、今後ともよろしくお願いいたします。―大変励みになるお言葉です。私たち臨床検査技師も、コミュニケーションの大切さを改めてかみしめたいと思います。医療人からのメッセージよりも、体験者のお話が同じ病いを抱える方にはより貴重です。体験しないでわかれば越したことはないのですが、体験してしまった者が伝える義務もあると思っています。夫婦はそもそも不完全―徹さんご夫婦の例は、病気に悩む多くのご家族の参考になる気がしますが。たぶん、大事なことは、いらだちや喜びを見せられる相手でいられるかどうかではないかと思います。妻だって頭が痛いとかいうときはあります。それを言わなくても雰囲気で「調子が悪いのかな」と発見できる間柄が望ましいですし、互いにぶつかれ石川 真由美

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