Pipette Vol.22 Winter 2019
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12JAMTトピックス122017(平成29)年6月、医療法等の一部を改正する法律(臨床検査に関係する)が制定されました。2018(平成30)年7月、その一部の法律を施行するための「厚生労働省令」が公布され、同年12月1日より施行されています。●臨床検査の精度を確保するために 省令の主な内容は、国民の医療と健康を守る目的から、医療機関などで実施されている臨床検査(特に検体検査)の精度を確保するために国として基準を設け、さらに適切に管理を行っていくことを、法律上、初めて明確にしたものです。この法律によって、病院をはじめ診療所にいたるまで(全国約17万件)、臨床検査を実施しているすべての医療機関においては、この法律によって規制されることとなりました。検査を行う人員の配置や、検体検査の確かさを守るためのさまざまな要件が決められています。法律ですから各医療機関は必ずこれら規則を守らなくてはなりません。現在、各医療機関では、その対応に追われているところです。●法改正への対処方針として 各医療機関で、臨床検査は国家資格を取得した臨床検査技師が担っています。その臨床検査技師の職能団体である一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(日臨技)では、今回の法改正への対処方針を立て、会員施設に周知しました。今回の省令を要約すると、各医療機関の管理者(病院長や施設長)に作成及び配備が義務づけられたものとして、①各標準作業書・日誌及び台帳等の作成、②検体検査の精度の確保に係る責任者の配置があります。また義務化とはなりませんでしたが、③各医療機関で実施されている検体検査の内部精度管理の実施、④外部精度管理調査の受検、⑤適切な研修の実施、⑥人材育成は「努力義務」となりました。日臨技では、この度の法改正を受けて、50年以上継続実施している外部精度管理調査事業を見直し、さらに大幅な改変を進める方向で作業を始めたところです(日臨技が行う「外部精度管理調査」の概要は、前11ページに掲載)。まずは、12月1日の法施行に向け、最優先で着手する課題を2点掲げました。1点目は、検体検査の精度の確保に係る責任者の育成を目的に、eラーニング講習として「精度管理責任者育成コース」を、10月31日に開設しました。この受検により、検体検査の精度の確保に係る業務経験等の経験値を、客観的に表わそうとしていますが、管理運営に関すること、検査の質の向上に関わる内容が特に充実しています。もちろん、精度管理について総論、基礎、各論についての内容、そして、今回の法改正で各医療機関に配備が義務化された「各標準作業書・日誌及び台帳等」についても、それらの書き方の解説を行っています。対処方針の2点目としては、文書類の雛形を当会のホームページ会員サイトに10月内に掲載して、閲覧可能としました。今後も、日臨技は臨床検査の標準化に向けて、さらにステップアップしていきます。「臨床検査技師」って? 季刊誌 ピペット 発行月 平成31年1月 Vol. 22 冬号 発行元 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会    〒143-0016 東京都大田区大森北4-10-7電話:03-3768-4722 FAX:03-3768-6722pipette@jamt.or.jpJAMTとはJapan Association of Medical Technologistsの略です。昭和27年に日本衛生検査技術者会という前身組織が設立されて以来、67年の歴史を有する職能団体です。★本誌を施設内のコーナーに常置して来館者の方に無料領布いただける施設を募集中です。http://www.jamt.or.jp/books/pipette/本誌のバックナンバーは電子ブックでお読みいただけます!ムラコニミ★認定救急検査技師認定検査技師 Vol.6認定救急検査技師(以下、認定技師)制度は、救急診療における臨床検査の質を担保することを目的としています。救急診療は、急激に悪化する急性病態に対する医学的介入であり、緊急度と重症度を重視します。救急診療における臨床検査の目的は支持療法や根本治療を適切かつ迅速に行うための診断補助であり、迅速性と精度保証が求められます。これに応えるために救急検査の定義(救急診療に特化した臨床検査)を確立し、救急診療および救急検査に関する知識・技術を習得した認定技師制度を構築しました。そして認定技師が初期診療に参加し、患者情報の収集や適切な検体処理を行うことで、救急検査の迅速性や精度保証が可能となります。また、医師・看護師の負担軽減にも繋がることから、診療支援としての価値も大きいといえます。(T)

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