Pipette Vol.23 Spring 2019
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88由美子 高村さんはMRI(核磁気共鳴画像法)の検査を担当されているそうですが、臨床検査技師では珍しいそうですね。高村 診療放射線技師が担当するケースが多いのですが、被ばくリスクのある放射線を使わない検査なので、法的には臨床検査技師もできます。由美子 どんなきっかけかで始めたのですか。高村 25年前になりますが、病院の事情で受け持つことになりました。当時はまだ普及していなくて、長くて暗いトンネルに入るような検査でしたね。由美子 認知症にはMRIが使われるのですか。高村 一番スタンダードですね。アルツハイマー型認知症の特徴である脳の海馬の萎縮なども確認できます。当院では、MRIとSPECTという画像診断を利用しています。由美子 認知症で一番怖いのは糖尿病ですか。高村 単なる老化が原因というよりも、糖尿病を含む生活習慣病が認知症のバックグラウンドといえます。スクリーニングの定期的な脳ドック健診のように、MRIの検査を活用することもあります。由美子 似たような横文字でよくわからないのですが、MBAの資格もお持ちというのはどういうことですか。高村 これは検査とはまったく関係ありません(笑)。大学院で取得する経営学の修士資格ですね。私の場合は、東京の品川にある多摩大学院に通いました。由美子 宇和島から東京まで?高村 毎週の週末に飛行機で(笑)、2年間、金曜と日曜の最終便での往復でした。今年ようやく卒業して、ヘルスケアの研究員として継続して大学には在籍しています。由美子 検査と経営って関係があるんですか。高村 今まで病院の中の臨床検査という世界だけで生きてきて、これでいいのかなと。医学以外の世界も見てみたいと。大学院ではビジネスの現役の方も講師を務めたりするので、刺激を受けますね。由美子 すごい。何でもできてしまう方なんですね。広島市の医療法人翠清会梶川病院では、臨床検査技師も日常業務として神経心理学的検査を担当している。こうした事例は、講習会事業を背景に全国的に増加している。臨床検査技師が取り組む認知症への対応 ◆認定認知症領域検査技師制度日本認知症予防学会と共同で、平成26年度から認定制度を創設しました。臨床検査技師が認知症に関する専門的な知識を有し、認知症を発症する多様な疾患の診断や、高齢者の多様な疾患の診断や全身状態を把握するために実施される臨床検査結果について、患者のQOL(生活の質)を保つための提言を行う唯一の専門家としての役割が期待されています。◆認知症対応力向上講習会事業日本認知症予防学会と共同で、神経心理学的検査を担当できる臨床検査技師の育成のため、平成29年度から都道府県単位に講習会を開催しています。カリキュラム(計500分)は、神経心理学的検査総論、MSE・HDS─R・物忘れ相談プログラム検査総論・実習、ADAS検査総論・実習、TDAS検査総論・実習、高齢者運転免許更新時の認知機能検査総論・実習から構成され、初年度は400名以上が受講修了しました。厚生労働省老健局からの後援もいただく講習会事業となっています。♪由美子の逆さインタビュー♪

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