Pipette vol.27 2020.4 Spring
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コモティブシンドロームには着目していなかったのですが、調べていくうちに、まさに予防医学が大事と思える症状だったので、私もロコモティブシンドロームについて研究しようと決めました。―ロコモ予防には適切な運動の習慣づけが大切とされています。私は、技師会で認知症に関する事業を担当しており、認知症予防にも運動が非常に重要なキーワードになっていることを聞いています。 認知症に関しても、いろいろなことがだんだんわかり始めているので、私は、認知症に関しても研究対象に加えたいと思っています。 筋肉や骨、関節などの衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態のことをいいます。運動器の機能低下が進むとケガや骨折のリスクも増え、介護が必要になる可能性も高くなります。 車やエレベーターなどを便利に利用できる現代社会では、若い世代でも運動機能の低下がみられ、全世代で注意が必要です。運動機能の維持のためには適度な運動を習慣的に行うこととバランスの良い食生活が大切です。―大学院の修士課程で、介護予防ロボット「ロコピョン」を制作されました。今はベンチャーのエクサウィザーズとコラボして、実用化に向けて開発を続けられているとお聞きしました。 はい。高齢者と一緒にスクワットをする「ロコピョン」というロボットを開発しています。 修士課程で作っていたロコピョンは、ただ高齢者にスクワットをやらせるだけだったのですが、今回はAIを取り入れて、一緒に運動する高齢者が膝を痛めない、無理せず筋力を維持できる正しいスクワットができるやり方が組み込まれています。―先日、私も少しやってみましたが、正しいスクワットを続けるのは大変でした。 回数ではなく、継続することが大切なのです。でも、継続することがなかなか難しいですね。―ロコピョンは、毎回声かけて誘ってくれるから継続できるのですね。 そうです。だから、モチベーションを当てにするのではなく、スケジュールを決めて、強制的にやらせるのが一番いいということなのです。―ロコピョンですが、今後はどのような形に進化していくでしょうか。エクサウィザーズでは、ロコピョンを個人のスクワット運動だけでなく、認知症等の高齢者施設でも使えるようにと考えています。 例えば、みんなで食堂に行くとき、次の人たちが来るまで待たせておくのに、ロコピョンがしゃべって、どこかに行ってしまわないようにみんなを集めて、そろって行けるようにするといったことです。スクワットをさせるだけではなく、もっともっと拡げていけそうです。小さいロコピョンに関しては、家庭用に開発できればいいなと思っていますが、これはエクサウィザーズと私だけで開発したものではなく、いろいろな方がかかわっているので、どこまで進められるかは未定です。ただ、それが駄目でも、家庭に置けるようなものを、少し時間はかかるかもしれませんが、実現できたらいいなと思っています。介護予防ロボット「ロコピョン」を開発ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは4|PipetteGuest:いとうまい子The interview

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