Pipette vol.30 2021.1 Winter
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私ができることがあったら、これからも是非させていただきたいと思っています。―お話を聞いていて、仁科さんは、病気のことや、細かい医学的なことをよく勉強されておられるなと思いました。多くの方は、ネットが今普及しているので詳しい方はたくさんいらっしゃいますが、仁科さんのお話をお伺いしていると病気に対してチャレンジしていくような、非常に前向きな印象を持ったのですが、是非そういったところを多くの方々にいい影響を与えていただけるといいなと思います。我々の雑誌ですけれども、多くは病院に置いてあるのですね。それで、付き添いの方や患者さん本人が読んでいらして、非常に勇気をもらっているとお伺いしているので、是非今回のこのインタビューを通してそういったことを感じていただけるといいなと思います。ありがとうございます。私ができることは続けさせていただきたいと思います。―最後になるのですが、臨床検査技師だけにではなく、医療関係者全体に対して何かご希望などがありましたらお願いします。医療に携わっていらっしゃる皆さんには、ずっと本当にお世話になって、度ごとによくしていただいています。それ故に今があると思っております。助けていただいたと思っています。けれども……もちろん人間ですから仕方のないことだと思うのですが時々「あれ? かおうちで嫌なことあった?」という看護師さんや、先生なども「夫婦げんかしてきた?」みたいなことがありますよね。「24時間皆さんのために笑顔でいてね」というのは無理なことだとは百も承知で申し上げますけれど、先生にしても看護師さきょう何んにしても多くの患者の一人ですよね。ですが、患者にとって先生は唯一無二、看護師さんもその時の非常に大きな助けなので、そこの温度差というものを時々感じることがあります。患者は本当に琴線を触れられるような、毎日感情の中にいるので、その辺を再認識というか考えていただければとてもうれしいなと思います。―私たちは仕事でやっているのですが、患者さんは病気で体調が優れないのに、病気を治してもらいに来ているのに、「何々さん」「はい、そこ、おなか出して」という感じだと、やはり「つらいのに何? その言葉は」と思われますよね。患者は気持ちがくじけてしまいますよね。―本当にそう思います。「今日は元気そうな顔ですね」と言ったら、患者さんも、「あ、元気そうなんだな」と少し元気になりますから、そのような一言を掛けることも非常に大事だと思います。ある病院の、終末期の方たちが多くいらっしゃる病棟に訪問させていただいたことがあるのですが、先生が驚いてくださいます。 「あそこにいる車椅子の患者さんは、昨日までご飯も食べなくて、『早く殺して』と言ってとても暗かっのですが、今日は朝から髪の毛をといて、口紅もつけて…」と。その患者さんは「あなたが来てくれて本当にうれしい」と言ってくださいまして。そういう時は本当に涙が出ますよね。―患者さんは、本当にちょっとした言葉一つで元気になったり気持ちが沈んだりがありますので、やはり医療従事者としてはその辺は心掛けていきたいなと思います。はい。是非お願いいたします。―今回は長い時間インタビューにお答えいただきましてありがとうございました。何かわれわれでできることがあったら、是非ご協力したいと思います。こちらこそこれからもお世話になると思いますので宜しくお願いいたします。芸能一家に生まれ、ご自身も一流女優という誰もが羨むような人生を送る仁科さんですが、その裏で、ご病気を克服されたこと、有名人であるがゆえの子育てなど、たくさんの苦労があったと思います。そんな話を明るく話せるのは、仁科さんの魅力なんだと感じました。次回は、元オリンピアン、現在は横浜DeNAランニングクラブエグゼクティブアドバイザーを務める瀬古利彦さんをお迎えいたします。どうぞお楽しみに。インタビューを終えて病院関係のみなさまへ6|Pipette主な受賞歴:1972年日本映画テレビ製作者協会新人賞2016年第25回日本映画評論家大賞ゴールデン・グローリー賞歌舞伎俳優十代目・岩井半四郎の次女として生まれる。1972年、NHK「白鳥の歌なんか聞こえない」でデビュー。1979〜98年の芸能活動休止を経て、ʼ99年に芸能界復帰、2000年より本格的に女優業を再開。近年では女優業に加え、バラエティ出演や自身の経験を基にがん治療に関する講演を行うなど、幅広い活動を行っている。女優仁科 亜季子         * Nishina AkikoGuest:仁科 亜季子The interview

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