Pipette Vol.4 Summer 2014
7/8

7◆肝臓って?肝臓は身体の中で最も重い臓器で、1200〜1500gあり、上腹部、主に右側の横隔膜直下にあります。肝臓の機能は、蛋白の合成と分泌、グリコーゲンやビタミン・鉄などの貯蔵・解毒作用、胆汁の産生など多岐にわたり、免疫機能にも関与しています。組織の再生・代償能力に優れ、手術で一部を切り取っても再生します。また、かなり障害を受けないと自覚症状が出ないことが多いので、定期的な健康診断が欠かせない臓器であるといえます。◆肝臓の検査肝臓機能に関する血液検査の項目として、酵素という項目がよく用いられますが、病状を鋭敏に反映するのがALT(旧GPT)とAST(旧GOT)です。肝細胞の壊死や障害で値が上昇します。また、LDHやγ(ガンマ)GTP(飲酒や解毒作用に関係する)なども数値が上昇しますが、肝細胞の線維化や肝硬変ではコリンエステラーゼなどは低下します。ウイルス性肝炎には、原因となる数種類のウイルスが発見されており、それぞれの肝炎ウイルスの抗原や抗体を調べることにより、治療の方策を決定します。近年、健康診断などでもよく行われている超音波検査では、肝臓の大きさ、肝表面の状態、肝実質の状態、脂肪沈着の程度、脈管系(血管)の状態などを、身体に負担をかけずに調べることができます。◆肝炎って?何らかの原因で肝臓に炎症が起こり、発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状を来たす疾患の総称です。原因はさまざまですが、一般的に知られているのはアルコール性肝障害とウイルス性肝炎です。 アルコール性肝障害は過剰なアルコール摂取で起こり、アルコール性脂肪肝からアルコール性肝炎となり、アルコール性肝硬変へと移行します。一日に日本酒3〜5合の飲酒×20年で肝硬変に移行するといわれていますが、アルコール感受性には個人差があり、飲酒の仕方や栄養状態によっても異なります。近年、非アルコール性脂肪肝が増加しており、その原因として肥満、糖尿病、高血圧などが挙げられます。日本における肝炎の80%は、ウイルス性肝炎が原因で発症しています。肝炎ウイルスはA〜G型とTT型に分類されますが、日本で多いのはA、B、C型です。A型は水や食物を介して感染しますので、予防には加熱が有効です。B型ウイルスとC型ウイルスは血液を介して感染します。B型ウイルスはC型感染ウイルスと比べ、血液中の濃度が何倍も高いので感染性が高く、性行為などでも感染します。B型とC型は肝臓内で持続感染することにより、年数を経て、肝硬変や肝臓癌が高率に発症することが知られています。B型ウイルスに対してはワクチンが開発されており、その予防に使用されています。◆肝炎の症状は?ウイルス性の急性肝炎の多くは、潜伏期間が過ぎると黄疸や倦怠感が現れます。慢性肝炎では、風邪に類似した症状が出現し、食欲不振、易疲労感(疲れやすくなる)、体重減少などが見られますが、無症状のことも多く、病変が進行するまで気がつかないことも珍しくないようです。肝硬変や肝臓癌へと移行していくと、黄疸、腹水、吐き気、出血傾向(出血しやすい)のほか、吐血、意識障害などの症状が現れます。◆肝炎はなぜ怖い?発症後1〜2ヵ月以内で治るものを急性肝炎、6ヵ月以上続くものを慢性肝炎と呼びます。急性肝炎の頻度はA型肝炎が最も多く、多くは治癒しますが、1〜2%が劇症肝炎へと移行し重篤な状態となります。慢性肝炎は長引くと肝硬変となります。日本人の肝硬変の原因の60%は、C型肝炎ウイルスによるものであり、重症化すると意識障害や昏睡状態となります。原発性肝臓癌の多くは、肝硬変を経て癌となったものです。過度のアルコール摂取を控え、バランスのよい食事をとるように心掛けることは、健康な生活への共通事項でもあります。A型肝炎の予防には、経口感染を避けるため、海外旅行の際に生水を飲んだり、海産物の生食を避けたりすることが対策の一つとなります。B型肝炎には前述したワクチンの使用が有効であり、健康診断での自己管理も重要です。アインシュタインは、来日する5年前に肝臓疾患のために厳しい食事療法が施されました。当時の医学技術ではウイルス性肝炎であったかどうかも定かではありませんが、手厚く看病をした親戚のエルザと2度目の結婚をしました。◆肝炎の検査●ナチスへの対抗からルーズベルト大統領に原子力爆弾の開発を勧める書簡は送ったものの、親日家となっていた彼は、戦後、反省し「もし私がヒロシマとナガサキのことを予見していたら、1905年に発見した公式を破棄していただろう」と語りました。直筆の公式E=mc2(写真)●日本は復興し、アインシュタインが亡くなった9年後の1964年には、東京オリンピック開催に合わせて東海新幹線が開業。もし存命ならば、アインシュタインは「ひかり」と命名された列車に乗りたがったことでしょう。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です