Pipette Vol.5 Autumn 2014
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7ハスマイルはワシントンポストのキッズポストに取り上げました。市立病院も2年後の新築再開が決まり、市民や行政側からの期待も大きいと思います。近江 受賞によりこの地域が注目してもらえる一つのエッセンスになったことは非常にありがたいですが、その中で、ぼくたちを「ローカリスト」と表現してくれたことがうれしかったです。私もかねて言ってきたことですが、われわれは「ジャーナリスト」ではない、地域を大事にしないと生きていけない企業だということです。社員も家族を亡くしたり、家を流されたりしていますけれども、社員は欠けなかったんです。経営に携わっているコバルトーレという女川のサッカーチームも選手一人、欠くことなく生きてくれたし、女川で救援活動をしたんです。彼らもローカリストになってくれました。―ワタノハキッズは有名になって子供たちは変わりましたか。犬飼 けっこうケロッとしていますね。イタリアに行った時、面白かったのは、立派な博物館で展示されて、イタリアのメディアが来て、「どうですか」と質問したら、ある子の回答は、「いや、別に……」(笑)。これは駄目だと違う子に記者が聞くと、その子は「いや、普通です」(笑)。子供って、どんどん前に行きますから、作品はもう過去のものなんです。「なんで(大人たちは)騒いでいるの?」という感じなんですが、彼らがこの先、30歳になった時とかに、作品は彼らにとって新たな価値が出てくると思うんです。震災のことも、大人になって悩んだりする時はくると思うんです。悩んだ時に、このオブジェって、子供の時に前に向かおうとした姿勢が詰まっている、震災の記憶や震災から立ち上がろうとする記憶が詰まっている。それは大人になった作者を救ってくれる力を持っているんじゃないかなと思っているんです。だから、それまではきちんと保管しておかなくてはと思っています。近江 その仕事は大変ですね。悩みを抱えた子供たち犬飼 すでに今、子供たちは、何か苦しんでいます。一番つらいのは、お母さんを亡くした中高生の女の子です。こっちが助けられるものではないですからね。長原 生きていてくれたらなあという思いが一番強くなる年頃ですよね。いないから、余計に思いが募るのでしょうね。近江 今年1月に当時1年生だった子たちの「2分の1成人式」という企画があって、話を聞きにいったんです。4年生10歳です。子供たちが落ち着かず非常に荒れていました。先生も悩んでいましたね。だから、非常に問題があるんです。犬飼 子供の環境というのは、真っ先に改善しなければいけないと思うんです。学校や公園とかで身体を動かしていないと、どんどんストレスが溜まっていく。子供時代のストレスとかトラウマは大人になってもなかなか消えないじゃないですか。だから、ここはほんとに大至急だと思うんです。でも、それが後回しになっている。石巻Newseeにて

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