Pipette Vol.5 Autumn 2014
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8近江 女川の場合も、何もなくて山のちょっとした公園とかで、ぼくらのチームのメンバーが子供を集めて、親が人を探したりして忙しいから、子供を集めてサッカーをしたりしていたんです。子供たちを見つけて引っ張り込むぐらいの気持ちでやっていかなければいけないですね。自分たちが生活していないところで遊ぶとなると恐る恐るです。だから、ちゃんと見てあげて、ここでこういう遊びをしていいからって言わないと駄目なんです。けっこう、みんな真面目だから。長原 総合運動公園はスクールバスの発着場所になっていて、普段であればランドセルを背負って、友達と遊びながら寄り道をしながら通学していたのが、できないわけですから。ましてや家に帰ると、仮設住宅にそのまま入るしかないということでは……。変わる力と時代の変化への対応―新設される市立病院がどんな医療を提供するかという点では、若者の心の問題や避難所生活・仮設住宅居住の問題のような要素の対応もあるように感じます。長原 病院にかかりたい人たちの意識も変わっていっているかもしれないし、さらに変わっていくかもしれません。もし、可能であるならば、その時代、時代に必要とされる病院であるということが、たぶん一番大事なんだろうと思います。その中で、臨床検査という職業の立場で何ができるのか、考えていきたいなとは思っています。近江 地域の変化の情報を商業も含めて、市民のみなさんに配ってあげなきゃいけないというのがあって、今年4月から新たな事業を始めました。『んだっちゃ!』という情報誌を5万2500部手配りしています。いろいろな情報を入れて、みなさんがこれから移動するための経済的なことも、それから生活の利便性も含めて、わかりやすいように載せようと思っているんです。ここの施設(石巻ニューゼ)は当社の100周年事業で、町のおへそに当たる場所、「津波襲来の地」という石碑の立つ場所を拠点にして、震災にかかわること、地域の歴史にかかわることを展示し、ワークショップできるようにオープンしたんです。飲みたくて作ったわけではないんですよ(笑)。長原先生がおっしゃるように変化することが大事で、まさに、「変化する力」と書いて提示してありますけれども、あれは、ぼくらの町に対するメッセージなんです。犬飼 被災地という言葉は好きではないのですが、この土地に思いを馳せてもらえるよう子供たちのオブジェの展示はこれからも各地で続けていきたいと思っています。地域の未来を作っていくのは子供たちですから、とにかく環境を整えてほしいです。被災したこの地域の高校生は、すごく町のことを考えています。他県の大人の人が町をよくしようとしている姿を見て「自分も動かなきゃ」と地元愛を持つ高校生がいる。こんな高校生って、日本中を探しても、そんなにいない。ぼくなど山形県で高校生の時は、「田舎はいやだ、東京に行きたい」と思っていましたし。この石巻とか被災した地域の高校生を見ていると、とても頼もしく感じますね。こっちが元気をもらえます。彼らのこの経験はきっと人を強くするし、大きく成長させると思うんです。心配な面もありますが期待して見ています。渡波の子供たちはどんどん大人になっていきますが、ずっと、一緒に友達のように過ごしていきたいと思いますね。『んだっちゃ!』石巻・東松島・女川の地域情報フリーマガジン。んだっちゃとは、「そうだね」「そうだろ?」の意「石巻Newsee」NewsとMuseumの造語。1階に展示室、2階がレストラン。階段踊り場に掲げられた「変化する力」の額(千葉蒼玄・作)

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