Pipette Vol.6 Winter 2015
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●グッジョブ・技師のお仕事ゲスト 鈴木明子3人の目で評価する難しさ―検査を受けると検査結果が出てきますが、多くの方は、どこの施設でも同じ検査結果が出ると考えていると思います。同じ結果が出るのではないのですか。―臨床検査は、検査の機器や試薬などがメーカーによって異なり、どこの医療機関でもまったく同じ検査結果が出るというわけではありません。もちろん、同じ結果が出ることを目指しています。私も、その病院でやったことがすべてだと思ってしまいますけれども。―そうあるべきだと、私たちの業界もいろいろなアプローチをして、同じ結果をどこでも提供できるように取り組んできました。数値で結果を表わす検査はそれが達成しやすいのですが、血液の中の細胞を見たり、超音波検査(エコー)などは画像ですので、検査する人によって見え方が違ったりします。私たち臨床検査技師は、自分の目で見て判断しなければいけないというところもあります。スポーツの中でも、とくにフィギュアスケートのように芸術要素が入ってくるものは数値で計れないものです。どっちが速かったではないので、採点後にいろいろ問題になったり、採点ルール自体が変わったりもします。お客さんが見ていて、パーフェクトだと思っていても、実際の点数は低かったり、あの選手は転んだのに転んでいない選手より点数が高いのはなぜなのか、とか。でも、そこには明確なルールがあって、それに則って審判員は点数をつけているわけですから、自分がいい演技をしたからといっていい点数が出るというものでもないんです。基本的に、フィギュアスケートの選手たちはそれを受け入れたうえで競技しています。人間の目で見て判断しなければいけないもの、感覚で判断しなくてはいけないものって、人の主観があるのでとても難しいことだと思います。もちろん点数は欲しいですし、上の順位に行きたくて練習していますが、最終的に試合の場になったら、自分のやってきたことが出せればいいじゃないかと思うようにしていました。―著書を読ませていただいてとても印象に残りましたのは、「ミスをすることも前提に」「いろいろな準備をきちんとして、やることをやっているからそこに立っていられるんだ」という部分でした。準備をきちんとして、いざ本番になったら、今までやってきたことなので、あとは自分を信じてやるということです。試合の本番中に、点数がどうとか考えたことはありません。点数を取りたくても、練習してきたことしかできないし、それ以上のことはできないですから。きちんとやってきた準備が自信につながると思うんです。最終的には自分一人で戦わなければなりませんが、そのときに支えてくれるのは、しっかり準備をやってきたという強い気持ちです。それは偽れないんです。自分が練習をサボっていたら、本番で大丈夫だといくら思っても、自分が一番よくわかっているからです。もちろん、きちんと準備をしたからといって、その人たち全員が成功するかといったらそうではないですが、成功した人は、病気になってからではなく、その前に自分の体を知ることが一番大事かなと

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