Pipette Vol.8
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●グッジョブ・技師のお仕事ゲスト 八代亜紀5―優しさといえば、ペルーの子供たちを支援されたり、女子刑務所で慰問コンサートをされたり、交通遺児のためのチャリティー展覧会を開いたり、八代市の養護施設の子供たちと交流されていますね。そういったボランティアは、両親が無性に人に優しくしていたのを子どもの頃から見ていたことが影響していると思います。ホームレスのおじさんを「寒かでしょ、うちに来なっせ」とひと月近く自宅で面倒みたりね。だから、人に優しくするのは当たり前と思って育ちました。小さいころ、学校の窓から下を見ると田んぼでおじいちゃんとおばあちゃんが田植えしてるの。「ああっ」と思って帰りにランドセルを置いて手伝ったり、秋になればまた稲刈を手伝ったりしてましたね。八代亜紀で売れて、「なみだ恋」が100万枚突破したとき、100万人以上の人たちが応援してくれたことに、何かお返しをしなければいけないと思って、そこで始めたのが少年院への訪問だったんです。親がいなくて不良になってしまった、そういうつらいことも年齢が近いのでわかるんです。「負けちゃ駄目だよ」って言える年代でしたから言いましたね。全員、泣いていました。少年院訪問は何年か続けました。その間、コンサート会場のそばの老人ホーム訪問など、自分でできることをしています。無理ならしないほうがいい、できることをやればいいと思っています。仕事も忙しいし、仕事で頑張らなければいけないですからね。でも「亜紀ちゃんが来た」って、おじいちゃん、おばあちゃんが泣いて泣いて……。そういう姿を見ると、重労働のコンサートの合間で、体はきついけれど、やってよかったなと思うんです。女子刑務所も、もう25年、続けています。女心っていうのは、切ないですからね。―意外なことに八代さんは「歌を歌う際に感情を込めない」そうですね。ええ、込めないです。八代亜紀の感情は込めない。あくまで代弁者ですからね。歌の主人公は誰かのことだから、自分の感情を入れてしまうと、私のものになってしまう。だから、聞いているそれぞれの人が感じるままに受け取れなければいけないわけです。インタビューを終えて大変気さくで、エネルギーに満ち溢れていて、とても素敵な方でした。生きる姿勢にも大きな刺激を受けることができました。次回は、がんを克服し、高座復帰を果たした落語家、林家木久扇師匠をゲストに迎えます。お楽しみに。歌の主人公は誰かのことだから、自分の感情を入れてしまうと、私のものになってしまうプロフィール●熊本県八代市出身。1971年デビュー。「なみだ恋」「愛の終着駅」「もう一度逢いたい」「舟唄」等のヒット曲を出す。1980年、「雨の慕情」で日本レコード大賞を受賞。2010年、文化庁長官表彰を受賞。絵画では、フランスの「ル・サロン」で5年連続入選を果たし永久会員となる。2013年3月、ニューヨークの老舗ジャズクラブ「Birdland」でライブを行い、そのライブ盤アルバム「夢の夜 八代亜紀ライブ・イン・ニューヨーク」発売。2014年10月、「心をつなぐ10円玉」発売。八代亜紀Aki Yashiro

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