臨床検査技師の仕事
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8検体検査遺伝子・染色体検査 ヒトの体は約6兆個の細胞からできており、細胞の核の中には、2重ラセン構造のDNAが折り重なって入っています。DNA中の決まった場所に遺伝子があり、体を構成するタンパク質の合成に関与するなど、ヒトが生きていくために必要な基本的な情報が保存されています。遺伝子・染色体検査によって、生まれつき持っている体質や、生まれたあとに生じたDNAの変化を調べることで病気の診断を行います。また最近では、がんの治療薬などが体質的に効きやすいかなど、治療効果の予測などにも応用されています。病理・細胞診検査 病理・細胞診検査は、病理組織検査と細胞診検査に分けられます。 病理組織検査は患者さんの体から採取された臓器・組織を用いて顕微鏡観察用のガラス標本を作製します。作製した標本は病理医により観察・診断が行われ、病気の最終診断がなされます。 細胞診検査は、尿や喀痰などに含まれる細胞や、子宮頸部や気管支などからこすり取った細胞、乳腺・甲状腺などの臓器に細い針を刺して採取した細胞から標本を作製し、悪性細胞の有無を調べます。病理組織検査は標本を作製し様々な染色を施す職人のような仕事です。細胞診検査では細胞検査士の資格を持つ検査技師が細胞の良悪を判断し、医師と共に診断を行います。これらの検査により最終診断が決定するので、常に技術や疾患について学び、責任感をもって検査を行っています。我妻美由紀(独立行政法人国立機構 東京病院)技師からの一言遺伝子検査は臨床検査の中でも新しい分野です。しかし患者さんや医師に与える影響は大きく、確定診断にも使用されています。得られた検査結果をそのまま報告せずに、本当に正しい結果であるかを日々考え仕事をしています。荻原真二(山梨大学医学部附属病院)技師からの一言免疫血清学的検査 免疫血清学的検査は、血液中の抗原や抗体反応を利用して感染など免疫(身体に侵入してくる異物を排除する仕組み)に関係する病気を診断する検査です。肝炎ウイルス、梅毒、関節リウマチ、膠原病などの診断には欠かせない検査です。腫瘍マーカーの検査では、がんの存在や治療効果を見ることができます。測定結果が診断に直接つながる項目も多いので、関連項目などに注意を払いながら正確で迅速な検査を心がけています。検査の精度を保つため、分析に使用する試薬・機器を適切に管理するのも大切な仕事の一つです。山中基子(九州大学病院検査部)技師からの一言

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