Pipette Vol.8
7/8

7◆アレルギーという言葉アレルギー(allergy)は、ギリシャ語のallos(変わった)とergo(反応)からくる言葉で、免疫(immunity)に対して「変わった反応」という意味です。アレルギーという言葉を初めて使用したのはピルケで、1906年にAllergieと題する論文の中で用いました。◆花粉症などのアレルギーは?アレルギー反応は、アレルゲン(アレルギーを惹き起こす特定の物質で抗原ともいわれます)によって惹き起こされ、発生する仕組みによって5種類に分類されます。現在、多くの方が悩まれているスギ花粉症を例にあげると、スギ花粉(アレルゲン)を吸ったり、触れたりした場合、身体がスギ花粉を侵入者として察知し、身体の中であらかじめ作られているIgEがスギ花粉と結合し、自身の肥満細胞よりヒスタミンなどの物質が放出され、鼻水、眼の痒み、肌の乾燥などの一連の炎症反応が起こります。これをアレルギーⅠ型(即時型)といい、Ⅰ型アレルギーにはアレルギー性鼻炎、気管支喘息、じんましん、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アナフィラキシーなどの疾患があります。◆アレルギーの検査アレルギー検査には、血液中のアレルゲンの有無を調べるRラストASTという検査があります。RASTで調べるIgEには2種類あり、食べ物や花粉など特定のアレルギーがあるか(特異的IgE)と、全体的にアレルギー体質なのか(非特異的IgE)がわかります。◆アレルギーかなと思ったらRASTはⅠ型アレルギーの可能性を調べるものですが、検査が陰性でも即時型アレルギーの可能性が少ないということで、アレルギーそのものを否定したことにはなりません。またRASTのみでは確定診断はできず、そのほかに皮膚テスト(パッチテスト、プリックテスト)や問診などで総合的に判断します。ハミルトン大司教のアレルギーを見抜いたカルダーノですが、当時の医療技術ではアレルゲンの特定はできませんでした。アレルギーかな? と感じたり、症状が出たときには、まず病院にかかり問診や検査を受けることをおすすめします。●カルダーノが52歳のとき、海を渡りスコットランドのハミルトン大司教の喘息の治療に訪れたセント・アンドリュースには、今日、全英オープンで有名なゴルフコースがあります。●1452年、スコットランドの王・ジェームス2世が「ゴルフ禁止令」を発した記録があります。1502年、ジェームス4世は自分がゴルフにはまり、この禁止令を解除しました。カルダーノが大司教治療のため、スコットランドを訪れたのはその約50年後となります。◆アレルギーの検査代表的なアレルゲン吸入性 アレルゲンハウスダスト(ダニなど)、カビ、猫・犬の毛、羽毛、スギ花粉、イネ花粉など※通年性アレルギー、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、花粉症などの原因食品性 アレルゲン牛乳、卵、落花生、そば、小麦、いくら、えび、かに、肉類、大豆など薬物性 アレルゲン抗生物質、風邪薬、胃腸薬、食品添加物、残留農薬、毛染め薬、口紅、クリーム、マニキュアなどクラス判定クラス0陰性(-):0.34UA/mL以下アレルギーの問題なしクラス1疑陽性(±):0.35-0.69UA/mLクラス2陽性(+):0.70-3.49UA/mLクラス3強陽性(++):3.50-17.49UA/mLクラス4高度強陽性(+++):17.49-49.99UA/mL以上50%の確率でアレルギーありクラス5高度強陽性(+++):50.00UA/mL以上

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る