Pipette Vol.11 Spring 2016
2/12

2政府が平成27年に発表した「新オレンジプラン」では、高齢者の約4人に1人が認知症の人またはその予備群であり、高齢化の進展で2025(平成37)年の有病者数は約700万人(約5人に1人)になると予想されています。あるべき認知症予防への取り組みをテーマに、日本認知症予防学会・浦上克哉理事長と日本臨床衛生検査技師会・宮島喜文会長が対談を行いました。脳研究の先進大学に入学宮島 先生は臨床医としての豊富なご経験があり、また研究者として頑張ってこられたわけですが、専門とする認知症の予防を医療職種の垣根を越えてチーム医療によって達成しようとする社会的な運動家という側面もあるのではないかと、私は非常に敬意を表しているところです。先生が認知症に取り組まれるようになった経緯をお聞かせいただけますか。浦上 運動家と言っていただいたのは初めてです(笑)。本当にそうなのかなあと思いますが、そのような評価をいただけたことは非常に嬉しいです。私は小児科の開業医になりたかったので医学部に入ったんです。ところが、鳥取大学医学部に入ってから脳の研究が非常に盛んな大学であるということを知りました。日本で最初の脳神経内科が鳥取大学にできているんです。そこで恩師の高橋和郎先生に出会い、小児科医になりたいという初心を曲げてしまって神経内科医になる、脳の臨床研究をやりたいという思いが強くなり、そちらの分野に進みました。研究テーマとして認知症を選んだのは、高橋先生が「認知症をやってみないか」とおっしゃってくださり、その一言で決まったのです。当時の私には、特に認知症への思い入れとかイメージというものはありませんでした。宮島 小児の先天性疾患などと比べると、認知症というのはその対極にあるような感じさえしますけれどもね。浦上 はい(笑)。脳波がとれない宮島 そうした経緯で始められた認知症と浦上理事長

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 2

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です