Pipette Vol.13 Autumn
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●グッジョブ・技師のお仕事ゲスト 古賀稔彦7ないんだ」「自分一人じゃない。負けても一緒に頑張ってくれる人がいるんだ」と彼女に知ってほしいと思ったからで、そこから、また一緒に頑張っていける関係性が生まれたんです。試合中に、どんなに応援したいと思っても、ぼくが出ていって2人で相手の選手を投げるわけにいかないじゃないですか(笑)。試合場では、自分の力で闘っていかなければいけないという現実がありますからね。そのためには、いろいろな問題を自分で解決していける、たくましい選手になってほしいと思うんです。自分の心の中には、弱い自分と強い自分がいるので、壁にぶつかったときには弱い自分だけが表に出てきやすくて、「どうしよう、私は、もう駄目なんじゃないだろうか」と、どんどん落ち込んでいくんです。でも、強い自分もいるので、「弱い自分から強い自分に質問しなさい」「もう一人の自分に問いかけなさい」ということで、「自問自答のノート」を使うんです。何か問題が出たときには、そのノートに素直に書いて、今度は強い自分がその質問に答えていくわけです。「もっとこうしたほうがいいんじゃないの?」「あなた、こうだったんじゃないの?」「こういうトレーニングをしたほうがいいんじゃないの?」というように答えを書いていくんです。書いて・考えて・実行に移すそして、書いた答えを実行に移していきます。書いて・考えて・実行に移すの繰り返しです。これを問題が解決するまでやります。そうすることによって、すぐに人に頼ろうとか、「もう駄目だ」ではなくて、「問題を解決できるんだ」という訓練ができるんです。そして、問題を解決した自分に対して自信を持てて、何か困難が生じても、当たり前のように「よし、乗り越えてやろう」という気持ちにもなれるんです。その前提としては、「どうしても困ったときには、先生に聞きに来なさい」、「先生と一緒に考えよう」ということがあります。彼女には、「自分の目指すものに向かって安心して挑戦しなさい、そこに失敗があろうが、転ぼうが、うまくいかなかろうが、自分の目指すものに向かって、安心してどんどん進みなさい」、そして、「ほんとうに困ったとき、振り返れば必ずおれがいて、一緒に考えてあげるから大丈夫」と言いました。「できるかぎり、自分でやれるところまでやってみなさい」というのは、突き放すのではなくて、安心感を与えておいてから挑戦させるのがポイントです。「柔道がもつ魅力」柔道着の左腕の346は「三四郎」の意味です解説 こ数年の柔道の試合も、ガラッと変わっています。みなさんが、昔、見ていた柔道はレスリングをやっているような感じで、ポイントを取ったら逃げる、なかなか組み合わない、だから面白くない、という印象もあったと思いますが、今は、しっかりと組み合って柔道をしなさい、きちっと技を出し合ってダイナミックな柔道をしなさいというルールに変わりました。海外のほうが柔道らしい柔道をしようと動いているので、ぜひ、また見てほしいと思います。 道は、日本よりも海外のほうがやっている人が多く、日本は16万人なんですが、フランスは55万人ぐらいいるんです。フランスの人気スポーツ・ベスト3です。なぜかというと、教育的な面で柔道を取り入れているからです。柔道精神というのは礼儀であったり、相手を敬う気持ちであったり、助け合う気持ちであったりします。人間教育の中でそういったものが必要だということで、フランスでは小学校に入るようになるころには、そろそろ柔道を始めよう、そして、中学生になったときに、自分に合っているスポーツに分かれていくようです。柔道を教える人たちは国家資格を持っていて、人間教育として柔道を取り入れ、柔道が認められているという世界なんです。 に日本は、危ない、怪我をする、先輩・後輩の関係で理不尽なことが起きるというイメージもありますが、もともと柔道は、嘉納先生が教育ということでつくられたもので、日本でも柔道の本質をしっかりと伝えていける状況が出てくれば、保護者の人たちもフランスと同じように、柔道で人間教育をしてもらいたいと考えるようになると思います。古賀塾でも、そういった子どもたちが多くなってきています。保護者たちが「柔道に行きなさい!」と積極的にすすめる世の中の流れになってくれることを望んでいます。こ柔逆

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