pipette_vol14_winter_2017
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11病棟で実践している取り組み病棟での採血は、早朝採血以外すべて検査技師が担当。コミュニケーションがとれない患者が多いが、必ず声がけをしている。また、安心感、信頼関係を築くために顔見知りになるように努めている。面会時間を設けていないため、毎日朝早くからお見舞いに来るご家族や、食事介助に来るご家族など、顔見知りの方が多い。挨拶はもちろん、患者さんの変化について、世間話などさまざまなお話ができるのも病棟検査技師ならでは。土曜日は一人出勤だが、比較的検査は出ないため回復期病棟に常駐。拘束・抑制ゼロ運動をしているため、認知症の方など目が離せない方や、不穏のある方を病棟看護師と共に見守っている。検査技師が病棟で仕事するまでの経緯寝たきりの患者さんが多いため、基本的に検査技師が行う検査は病室で行う。また、看護師の業務負担軽減で検査技師が導入された経緯があるため、検査技師への業務移行は好意的。とくに検体採取は平成27年以前から行っている。平成23年に病棟にて疥癬の感染拡大が見られ、疑わしい患者さんすべての皮膚鏡検をした結果、ひと月に60件以上の依頼があり、皮膚科の先生は月2回しかいらっしゃらず、主に褥瘡を診ていたので、疥癬の検体採取はしていなかった。それまで、看護師が採取したものを検査技師が顕微鏡で見て、ヒゼンダニの有無を確認していたが、採取された細胞が角化したものが多く、採り直しが度重なるにつれ、検査技師が採ったほうがよいとなり、そのころから検体採取は検査技師の業務に移行された。患者さん、看護師からの取り組みへの評価[患者さん]⃝検査以外でもNST回診で関わりがあるため、採血でベッドサイドにうかがったとき、食事の摂取状況を聞くなど話が弾む。また、顔見知りになると、侵襲性の高い胃カメラの検査では、少し緊張がほぐれるようである。[看護師]⃝協力的で、背中の皮膚を採る場合は補助に入ってくれたり、暴れてしまう方の場合は抑えてくれたりする。⃝採血は看護師より上手なので、採れない場合は「検査技師が採れないのであれば……」と、医師も看護師も動脈血から採ることに快く応じてくださる。新人看護師の採血研修も担当している。⃝検体採取についても検査技師のほうが採り方、採る場所を知っていることは周知されている。⃝発疹や小丘疹などがあると、疥癬の可能性を見てほしいと相談が来る。逆に私たちが採血時に疥癬の可能性がありそうな小丘疹を見つけ、看護師に報告し、医師から皮膚鏡検の依頼が来たあと、採ったところ疥癬だった事例がある。医療法人社団富家会 富家病院(埼玉県)病棟で活躍する 皮膚鏡検のための検体採取業務臨床検査技師が行っている病床数202(回復期病棟28、療養病棟89、特殊疾患病棟29、障害者病棟56)検査技師4名(常勤2名非常勤2名、うち1名透析室常駐)。6年前に病院機能評価取得に当たり臨床検査技師の配置が望ましいと指摘があり、ナースサポートの一員として看護部検査科として配置。慢性期の病院で検査技師が配置されているのは当時珍しいとされた。

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