pipette_vol14_winter_2017
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12JAMTトピックス一般社団法人日本臨床衛生検査技師会は、現在、臨床検査技師が病棟で行う業務範囲の拡大に取り組んでいます。(P10、P11には具体的な施設事例も紹介していますのでご覧ください)。●検査の専門家として 患者さんからだけでなく、医療施設の経営者からも、「検査は検査室で行うもの」と理解されてきました。過去においては、検査機能を中央化することで、検査の効率や大型検査機器の導入などを実現したことも一つの理由ですが、患者さんにおいては、「生理検査室へ行って検査を受ける」「採取された尿や血液の検査はだれが行っているかわからない」という理解が一般的でした。近年、採血業務やその他の検体採取業務も臨床検査技師が行うようになり、検査時の事前説明や検査結果の相談に臨床検査技師が取り組み、患者さんとの接点を持つ施設も増えてきました。これには、チーム医療という観点と、医師・看護師不足という現実が背景にありますが、検査の専門家である臨床検査技師が、検体の採取から結果報告までの全過程を担当することが本来望ましいという原点に立った取り組みでもあります。●病棟で直接患者さんと接して 病棟に出向いたり、病棟に常駐して臨床検査技師が行える業務の範囲は拡大しつつあります。昨年行った実地検証(協力:聖隷横浜病院300床)において、入院患者情報管理、採血、検体採取、ベッドサイド検体検査、心電図、検査説明、輸血関連業務、検体搬送、カンファレンス参加、検査情報問い合わせ、医師・看護師への業務支援など、昼間帯でほぼフルタイムの仕事量が存在することが確認されました。看護師へのアンケートでも「看護師の検査業務の負担が軽減した」(93%)「患者さんの直接ケアに従事する時間が増えた」(71%)と評価されています。日本臨床衛生検査技師会が開催する平成28年度学会(全国及び支部の計8学会)でも病棟業務に関し多くの発表がなされました。「病棟に臨床検査技師がいるのは当たり前」という目標の実現に取り組んでまいります。ムラコニミ★オリンピック・ドーピング問題から思うこと昨年の夏に開催されたリオデジャネイロ・オリンピックでは、直前にロシアの陸上選手などが禁止薬物使用を世界反ドーピング機関(WADA)から指摘され、多くの選手が出場を認められなかった。尿の採取の部分で国ぐるみで不正があったという。ドーピング検査を行う機関の検体測定までは、セキュリティを含め厳密な管理がなされているにも関わらず、尿採取においてすり替えなど、尿を取って提出する部分で意図を持った介在者が存在し、不正がなされた場合は対処の方法はない、という現実を見せつけられた。医療現場の臨床検査でも患者さん本人、検体などの取り違え防止、機器の管理、測定値の精度管理など、日々、多くの労力を注いでいるが、施設での検体採取について、技師がもう一歩踏み込んで、採取→測定→報告までの管理体制を確保する必要性を自ら提唱すべきである、と感じた問題でもあった。(D)「臨床検査技師」って? 季刊誌 ピペット 発行月 平成29年1月 Vol. 14 冬号 発行元 一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会    〒143-0016 東京都大田区大森北4-10-7電話:03-3768-4722 FAX:03-3768-6722pipette@jamt.or.jpJAMTとはJapan Association of Medical Technologistsの略です。昭和27年に日本衛生検査技術者会という前身組織が設立されて以来、65年の歴史を有する職能団体です。★本誌を施設内のコーナーに常置して来館者の方に無料領布いただける施設を募集中です。http://www.jamt.or.jp/books/pipette/本誌のバックナンバーは電子ブックでお読みいただけます!病棟で活躍する臨床検査技師

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