Pipette Vol.25 Autumn 2019
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●グッジョブ・技師のお仕事ゲスト 池田 清彦7―テレビには環境問題関係の話から出演されるようになったんですね。そうだね。『ホンマでっか!?ニュース』には、後に防衛大臣になった森本敏さんなど、さまざまな著名人が出ていたので、おもしろかったけどね。―さらに人間関係は広がっていきましたか。テレビに出ている人同士で討論することはないから、あまり広がらなかったな。研究会だと、何か言ったときに文句を言うやつがいて、その場で数時間も意見を言い合うわけだけど、テレビはそんな時間がないしね。テレビというメディアは、そういう点では考えるメディアにはならないね。人とのつきあい方―人とのつきあい方で、ストレスを感じる人が多いようですが。世の中にはいろいろな人がいるから、自分の好みに合わない人とはつきあわなくてもいいけど、「こんなやつ、許せない」なんていうのは言わないほうがいいよね。「そういう人もいるよね」という感じが大切で、そういうことが人とつきあうコツなんじゃないかな。―自分自身へのストレスがなくなりますね。自分自身へのストレスが一番大きいわけで、そのストレスがなくなるだけで、世の中が楽に生きられますから。人のことを認めてあげられない人は、自分も認められないから、褒めることは大事ですよ。人のことを褒めれば、ウソでもいいから褒めていれば、相手もウソで褒めてくれるから(笑)。ウソでも褒められれば、人間はうれしいもので、生きる張り合いも出てきますしね。―そういうところが先生の人間力で、度量の大きさをあらわしていますね。そんなことはないよ。でも、ぼくは怒ることはないな。ゼミの学生も、ぼくに怒られたことはないと言っていたからな。授業中に騒ぐやつがいても、あまり怒らない。余程腹が立つときには近づいていって、「ほかの人も聞いているから、もう少し静かにしてもいいんじゃないか」というようなことを言うことはあるけれどね。一番きつかったのは、「来週から、ぼくの授業に出なかったら単位をあげるけど、出たら単位はあげないから」と言ったときかな(笑)。出るとうるさいからね。―それでどうなったのですか。その学生、次の週も来て、ひと言もしゃべらなかった。「来なければ単位をあげる」というのは、すごく効いたね(笑)。ただ単に「静かにしろ」と怒っても、あまり効果がないということじゃないかな。肩の力を抜いて仕事に向き合う―私たち臨床検査技師は、マニュアル通りにしか動けない実情があります。しかし、先生がおっしゃるように、変化する環境の中で、がんばりすぎない、肩の力を抜いて業務に向き合うためのアドバイスをいただけると。医療情報は日進月歩なので、できるだけそういう情報を自分なりにキャッチしておくと、この検査は何のためにやっているのか、もう少しするとこの検査方法は変わるのではということがわかってきて、検査に池田流 検査結果の活用法ぼくはあまり検査をしないほうなので、いいアドバイスができないけれど、ぼくが思うのは、具合のいいときに検査をして、その数値を平均して、それを自分の正常値としたらいいということ。つまり、検査は自分の正常値を知るためにするということで、通常の基準値に当てはめなくていいと思う。基準値というのは大数の中の平均値から導き出しているわけだから、それが自分の正常値かどうかわからないところがあるよね。─体調が悪くなくても定期的に診てもらえる、かかりつけ医がいるといいかもしれませんね。ちょっと風邪気味のとき、これは具合が悪いとき、これは酒の飲み過ぎのときといったデータも取っておいて、具合が悪くなったときに新しく出たデータと見比べて、自分の身体の状態を観察してみる。そうすると、本当に具合が悪いのか、たいしたことないのか、自分でよくわかりますよ。医者よりもわかるかもしれない(笑)。

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