Pipette vol.27 2020.4 Spring
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現代は交通網が発達し、感染症の原因となる細菌やウイルスが国境を越えて移動してくるようになりました。とりわけ今年は東京オリンピック・パラリンピックを控え、国も感染症対策に躍起になっています。感染症は生物の歴史と共に存在し、現在ヒトの死因の1/4を占めています。感染とは細菌やウイルスがヒトの体内に侵入し、増加することです。感染症とは、感染により病気を発症した状態のことで、体内に入っただけでは感染症とは呼びません。ヒトからヒト、動物からヒトへ伝播する感染症を伝染病と呼びます。ヒトに感染症を起こす病原体の種類には、「ウイルス」「細菌」「真菌」「原虫」「寄生虫」「プリオン」などが知られています。一早く病原体を調べ、有効な治療方針を見つけて伝播を防ぐことが重要です。そこで、病原体の性質を詳しく調べるのが臨床検査です。原因が特定されるまでには、いくつかの検査を行います。サンプルを培養して増やしたり、染色したり、遺伝子配列を調べたりします。感染リスクの高い患者がいる場合や致命的疾患の場合、伝播の拡大が予想される場合、多剤耐性菌の場合、培養困難な場合などは、迅速な診断が要求されます。感染症を防ぐ鉄則は、拡散する経路の遮断ですが、さまざまな情報に惑わされずに公的な発表に従って行動することが重要です。臨床検査技師とは・・・臨床検査技師は、国家試験に合格した臨床検査のスペシャリストです。病院やクリニックなどで様々な検査機器を駆使して、医師の診断を支えています。臨床検査には血液や尿などを詳しく調べる検体検査と心電図や超音波検査などの生理検査の2種類があります。検査結果によって大きく治療方針が変わることも多く、人の命に深く関わる仕事です。心労も多いですが、やりがいのある職業です。「感染症」臨床検査技師のつぶやき   1ピペ子マスコット。本誌に登場し、わかりやすく解説してくれます。Pipetteマスコットキャラクターピペトン臨床検査技師のお仕事を広く周知させるべく誕生した

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