Pipette vol.32 2021.7 Summer
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      まずいと思いました。だけど「どうして私なんだろう」と思ってしまいます。乳がんはどちらかというとおっぱいが大きい人がなるというイメージがあったけれども、全然そんなことはないですから。―婦人公論でのエッセイを読ませていただいたのですが、室井さんは、病気療養中でありながら非常にポジティブシンキングな方だなあと思いましたが実際如何でしょうか?みんな生まれてきたら死ぬんだと思うのです。最初は親の管理下にいると思います。その後、年老いたら気持ちがあっても体がついていかなかったりしますよね。そうすると、自由に動き回れるときなんてほんの40年かそのくらいの期間です。そう思ったら、それが最後に失敗しようが成功しようが好きなように自由にしたいと思っています。(笑)―その明るい笑顔がすごく素敵です。ご病気や子育てなどで少しお休みをされたの少ない職業でした。糖尿病でいろいろな指導士などの中には私たちの仲間もいるのですが、臨床検査技師ということ自体はご存じでしたか?はい。私のイメージは、どちらかというと外科の先生や内科の先生が患者から採った検体を「この病気だ」ときちんと調べてくださる人たちという意識でした。―ありがとうございます。なかなか知っていただく機会が少ない職業なので、「看護師さん?」と聞かれることもあります。採血をするのも今は結構検査技師が多いのですし、心電図やエコーなども検査技師の仕事のひとつです。 続いて乳がんのことについてお聞きしたいと思います。実は乳がんも、膵臓がんと同様、偶然発見できたのです。がんを発見する前日に漫画家の友達と久しぶりにご飯を食べにいって、近況を話していたら、いつも来てくれていたアシスタントの方が乳がんだという話を聞いたのです。その後、家に帰ってお風呂に入ろうとしたのですが、ちょうど入り口が全部鏡になっているので、「あら、鏡があるじゃない」と思って乳がんの話を思い出して自分で触っていたら、本当に小さい米粒くらいのものがあるのです。「え?」と思いました。それで発見できたので、すごくラッキーです。―最初にそう告げられたときのお気持ちについて教えていただけますでしょうか?時期もおありだったと思うのですが、その中で復帰をされるときに心境の変化や人生プランの変化ということはあったのでしょうか?私は、膵臓の腫瘍を手術したときや、36時間かかった出産のときも、書き物の仕事を、キャンセルしたことは1回もないです。怒られるのが面倒くさいからやっておこうというところがあって、そういうところは優等生だと思います。物書きは私の性格にすごく合っているし、あとは意外と働きながらやりやすい仕事なのでそれを選んだのは良かったと思います。心境の変化は意外と変わりありません。ある程度いい年になったら格好いい女になれると思っていたのですが、やはり人はずっと同じですね。ただ、ずっと生きていると長所と短所がよく分かってきます。短所はどうやって補えばいいのかが分かるし、長所はそこがアピールポイントだと分かってくるのですが、分かるだけで案外変わらないのではないかと思います。―女性の活躍についてなのですが、私たちの団体は臨床検査技師という団体で、実は女性が7割以上いる団体です。そういう人たちがこれから少しずつ活躍できたらいいと思っているのですが、こう女性の活躍について4|PipetteGuest:室井 佑月The interview

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