Pipette vol.32 2021.7 Summer
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です。それで、現在物語は14冊の本を出しているのですが、あまり出してもというのがありますが、15〜16冊あるといいかなと思っています。私が死んだときに誰か変わった編集者が「全集のようにしてほしい」と言いだしてくれたら、8冊くらいにまとめるには16冊ぐらいあったほうがいいのではないかと思っているので。だからもう少し書きたいと思っています。―先ほど少しお話にも出ましたが日頃、臨床検査や検査について興味を持たれたりする機会や事などがありましたら教えてください。やはり機械もどんどん変わっているし、画面に映ったものは私が分かるわけがないけれども興味はあります。例えば同じようなしこりが胸にあったとしても、「これはがんではなくてこっちはがんだ」と。なぜかというのは特に知ってもしょうがないと思いますが、私が好きな先生は「これとこれはどう違うかというと、これは水の固まりです。どうしてかというと…」と言って、きちんと説明をするのが好きな先生です。話好きの先生は安心しますよね。患者は全然知らないことですから、知らないことを知ることは楽しいではないですか。だから教えてもらうとすごく楽しいです。   * ―私たちも産婦人科の超音波検査の現場では「どこが赤ちゃんの顔なの?」などと聞かれることもありますし、そういうことに興味を持っていただいたら丁寧に答えることがすごく大事なのだと思いました。医療スタッフは専門家で頼りにしますから、距離感はないといけないと思います。でも近くなる瞬間はあると思うのです。先生と近くなる瞬間は、診察時、病気以外のこと(食べ物)なども会話している時に、私が予約をした時間から1時間以上過ぎていました。ですので、先生はご飯も食べないで診察していると思ったときに、はっと気が付いたのです。そういえばあそこのドーナツ屋さんがおいしいと聞いたから病院に行く前に買ってきたのだろうというふうに「先生、もし良かったらこれは買ってきたばかりで、おいしい店のドーナツなんです」とバッグから出したのです。すると先生が「まだそんなものを食べているの?」のように言っておられて・・(笑)―重要ですね。私たちは何が安心に提供できるかといつも思っているつもりなのですが、そういうところでしょうね。我々も心に刻んで日頃の業務に取り組みたいと思います。 長い時間、本当にありがとうございました。室井さんの益々のご活躍と、ご発展を祈念しております。インタビューを終えて無邪気な少女と頼れる姉御が同居する不思議な魅力を持つ室井さん。その二面性は逆に、普段メディア等で拝見するままの明るく裏表のない性格が作り出すものだと感じました。次回は、数々のヒットソングを世に送り出しているシンガーソングライターのさだまさしさんをお迎えいたします。どうぞお楽しみに。病院の検査への興味6|Pipetteプロフィール:1970年青森生まれ。ミス栃木、モデル、女優、レースクイーン、銀座のクラブホステスなどの職業を経た後、97年に「小説新潮」5月号の「読者による『性の小説』」に入選。 以後、「小説現代」「小説すばる」などに作品を発表し、98年に『熱帯植物園』(新潮社)を上梓した。さらに同年『血い花(あかいはな)』(集英社)を発表。99年9月には 『piss』を講談社より刊行した。最近では活動の幅を広げて、若い女性の代弁者、恋愛の教祖、そしてお母さん、という立場からテレビ・ラジオでコメンテーター、シンポジウムで パネリストとして活躍中。 近著に「息子ってヤツは」(毎日新聞出版社)、「この国は変わらないの?」( 新日本出版社) がある。 主な出演番組 :TBS中居正広の金曜日のスマイルたちへQR大竹まことゴールデンラジオANB 池上彰のニュースそうだったのか!!作家室井 佑月Muroi Yuzuki連載 :週刊誌 女性自身、週刊朝日日刊ゲンダイ等多数Guest:室井 佑月The interview

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