Pipette vol.33 2021.10 Autumn
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The interview    思います。私の場合、2020年9月にツアーを再開させましたが、感染症専門の先生方と何度もディスカッションを重ねました。換気の悪い狭い空間でみんなが大声を出したり、踊ったり、汗が飛び散ったりするということが感染の原因になるということでした。実際のコンサートホールというのは、換気はきちんとしていますので、専門医の方も心配は要らないだろうとおっしゃってくださいました。それから、お客さんが密にならない方法を考えてほしいということでした。入場時には、アルコールで手指消毒はもちろんですが、込み合わないような工夫をしましたし、会場内で会話をしないよう、お願いも致しました。また、マスクは必須で、去年の場合には50%ぐらいしかお客さまがお入りいただけないという状況でコンサートを行いましたので、隣の席が空いているというのは精神的にも楽であったと思います。更に入場時には、靴底の消毒も効率的に(自然に歩きながら消毒可能なマット)行いました。そして、会場に入ったら着席し、移動しないようにお願いいたしました。コンサート開催時間は最大2時間ということで、9月から2月まで41公演行いましたが、感染者の報告はゼロでしたので、今年の6月からツアーを行うことにも、スタッフにとっては自信ができたと思います。ただ、僕も含め主催者側が感染してしまうと、周りに大きな迷惑をかけることになるので、外部からのお客さまは一切楽屋にはお入りにならないように徹底しました。これは極端な話、家族でも入れないという覚悟です。食事についてですが、旅先で外での会食は禁止にしていましたので、みんなお弁当を抱いたまま自分のホテルへ戻って部屋で食べました。それと、定期的なPCRの検査は全員やっていました。あと、お客さまとの距離です。僕が仮に感染していたとしても、感染させない距離、トークの場合に最低でも2メートル以上、歌う場所から最前列のお客さままでは、5メートルというのを感染症専門医と相談し、これでしたらばどうにかみんな安心できるだろうという―世界中が新型コロナウイルス感染症のまん延にともなって大きな影響を受けています。多くのアーティストの方々もコンサートを中止にするなど、活動の自粛を余儀なくされました。そんな中、さださんはいち早く感染症対策を施してコンサートを再開されました。ご苦労も多かったことと推察いたしますが、再開するにあたりどのような点に気をつけられたのでしょうか?コンサートをやるというだけで、けしからんと言う人たちもおられますし、ミュージシャンにとってもそれぞれ事情が違うと 人々の心に染みわたる素敵な楽曲を数多く生み出し、多くのコンサートを行うなど超多忙である反面、小説家としてもご活躍される、実にマルチな才能の持ち主です。 視力が徐々に失われていく難病〝ベーチェット病〟に侵された青年と恋人との絆を描いた「解夏(げげ)」や献体を申し出たことから、母と娘のすれ違ってきた関係が修復されていく「眉山(びざん)」など病気や医療をテーマとした執筆作品があります。 また、「風に立つライオン基金」を立ち上げるなどボランティア活動にも積極的なさださんに元気の源をお聞きします。コロナ禍でのコンサート活動の再開についてさだまさし「こころ」「出会い」「いのち」2|Pipetteシンガー・ソングライター小説家ゲスト聞き手Guest:さだまさしThe interviewさだまさし丸田 千春佐世保中央病院生理超音波室

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