Pipette vol.35 2022.4 Spring
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球を読む力というのは野村さんの考え方を聞いていたら、すごく参考になる部分が多かったです。1年目の巨人戦でサヨナラヒットを打ってベンチに帰ってきたときに野村さんが、バッと出てきて「よう打ったな」となるのかと思ったら、一言「読み勝ちだな」と言われました。僕も読み勝ちだと思っていたので、それを言われたときにすごくうれしくて、それが忘れられない野村さんの一言でした。星野さんについてですが、第一次政権でドラゴンズの監督をされているときに、ベンチで怒っている姿がかっこいいなと思っていました。それが一緒に野球をやることになるというのは全く想像もしていなかったですから、監督の采配が楽しみでした。星野さんがすごいのは、選手一人一人の性格や個性を、最初のキャンプ、特に1年目のシーズンで見極められていたことです。僕には結構厳しく言ったほうが「こいつは     跳ね返ってくる」と僕の性格を熟知されていたというか、だから僕には本当に比較的厳しく接してくださっていました。逆に一緒に戦っていたメンバーで今岡さんというバッターがいましたが、今岡さんには一切怒ったところを見たことがなかったです。褒めまくっていて「本当におまえ、天才だな」「おまえが好きなようにやればいいよ。あとは投手が何とかするわ」と言ったり。また、周りにすごく目を配ってくださる監督さんでもあったので、怖いイメージがありつつも、何か悩んでいそうな選手には、誰よりも早く気付いて、監督室に呼んで声を掛けたりされていました。―赤星さんの書籍に、将来指導者として戻られるための時間が欲しいと言った内容が書かれていましたが、阪神ファンとしては縦縞で引退された赤星さんが再び甲子園に戻られるのを心待ちにしておりますが、再びユニフォームを着られる可能性についてお聞かせ頂けますか?縦縞以外で最初に戻るつもりは正直ありません。(笑)ここ数年自分でタイガースの戦いを見ていて、本当に今頑張っていますよね。力が付いてきて若い世代の選手たちも伸びてきています。すごく魅力あるチームになりつつあるなというのもある中で、何か力になりたいという気持ちというのがだんだん強くなっている部分は確かにあります。近い将来そういうチャンスがあれば、もちろんこれは僕が「戻りたい」と言って決まるわけではないので、そういう機会があればというのはもちろんありますね。(笑)―結構身勝手な阪神ファンについてどういう感情をお持ちですか? また、甲子園球場についてはいかがですか?2003年に優勝して球場を最後に歩くときに、球場のスタンドにいる人たちのほとんどの方が泣いていました。優勝したらこれほどたくさんの人が涙してくれるのかと、これほどのチームはないよなと思いました。僕らはプロ野球選手なので、ファンの期待するようなプレーができなかったときに文句を言われるというのは当然だと思っていましたし、チームがふがいない試合をしたときに何か言われるのも当然だと思っています。ただそれが少し違う、度が過ぎているときに、僕は「それは関係ないだろう」という感じで食ってかかったりもしましたが、僕の中ではそれもファンの人たちとの距離が近くなる一つのことなのかなと。だから何か言ってくれたら手を挙げたり、「ありがとうね」と言って声を掛けたりするのもコミュニケーションだと思っていました。だから本当にある意味叱咤激励、厳しいことを言ってもらうのは、いい刺激になっていました。再びユニフォームを着る可能性阪神ファンについて4|PipetteGuest:赤星 憲広The interview

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