Pipette vol.36 2022.7 Summer
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われました。最終的に様々な検査をしましたが、がんの可能性が高いということでした。診断が確定するまで体中が痛くて、24時間、鎮痛剤を飲んでいるような状況でしたが、働きながら検査を受け続けるという生活をしていました。それから1カ月以上たって骨髄生検をしたところ、悪性リンパ腫という診断が下ったという状況でした。―当時、治療のために入院されてからSNSやブログでいろいろな情報を発信していらっしゃったかと思いますが、始められたきっかけを教えていただけますか?自分が30年間にわたってワイドショーや情報番組を担当していて、その人が好むと好まざるとにかかわらず有名人のプライベートを皆さんに伝えていくのを仕事にしInstagramを始めましたが、フォていましたので、いざ自分が大変なことになったときに自分のプライベートは明かしませんというのは理屈に合わないなといいますか、贖罪(しょくざい)の意味も含めて自分のプライベートは明かす必要があると思っていました。たくさんの方の闘病記を紹介してきましたので、自身も「これはやらなければいけないな」と思って、情報を開示しようということで闘病生活を公表していきました。私は、フリーになってブログとロワーが300人から何をやっても増えなかったのですが、「入院する」と発表したらフォロワー数が30万人になりました。それは、がんに対して日本人は大変興味があるということだと思います。SNSでの応援コメントに関しましては「笠井さんの闘病を見ながら自分も励まされています」などというコメントをたくさん頂きましたが、逆にそういう言葉に本当に励まされていました。フォロワーコメントに、「私も笠井さんと同じがんです」という人の言葉がたくさん寄せられてきまして、「笠井さんと違うがんだけど、抗がん剤治療を一緒にやっています」という人も増えてきまして、とにかく「笠井さんを追い掛けて頑張っています」というのが本当にたくさん来るようになりました。また、そのご家族から「うちの家族も抗がん剤を―笠井さんのご病気が見つかったきっかけは何でしたか? 「今から思えばあのときから」といった症状があったのでしょうか?病気が見つかったきっかけは、フジテレビを辞める2カ月前くらいに、排尿障害、頻尿が起きまして、痛みも出てきました。自分の中では、この状況からすぐに「がん」だとわかりました。なぜならば、1年前に小倉智昭さんが膀胱がんで手術をしていたからです。20年間、私と小倉さんは同じ生活をしていて、平均睡眠時間は3時間や4時間でした。僕も小倉さんも20年間くらいこのような生活を続けていまして、小倉さんが膀胱がんになり、自分も排尿障害が起きたので「これは同じがんだな」とすぐに悟り、検査に行きました。結局2つの病院で血液検査をして、がんではなく、前立腺肥大という診断でした。前立腺がんの検査もしましたが、異状なく、血液検査も良好な結果でした。それから、前立腺の肥大の治療が始まり、投薬の効果が表れるのは2カ月後くらいからとのことで、気長に治療していました。しかし、腰や肩など体のあちこちが痛くなってきまして、2カ月たっても状況が良くならなかったのです。当時腰の痛みは、引っ越しで重いものを持ったので「ぎっくり腰になったのかな?」と思い、主治医にも腰の痛みのことはあまり訴えていなかったのです。その後痛みは全く改善されなかったので、再度CT検査を受けたところ、「骨盤に影がある」と言大病を乗り越えて   3

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