Pipette vol.37 2022.10 Autumn
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 1検査結果を評価するには物差しが必要であり、一般的には基準値という言葉が使われています。基準値は、検診等の検査値をたくさん集めて統計学的に高値側、低値側の異常値を除去して得られた平均値±2SDの幅であり、健常者の95%が含まれる検査値の幅ということになります。つまり、基準値の中には正常でない方が5%は含まれていることになりますし、正常でも5%の方はこの幅から外れてしまうことにもなります。さて、基準値を決めるときに統計学的に異常値を除去すると記しましたが、厳密に言うと、この方法は万人の値を代表できるものではありません。たくさん集めた健診データでも皆が太った方だったら太った人の基準値になってしまいますよね。そこで、最近では基準範囲という概念が定着しています。これは健診データから病歴、重大な自覚症状があるものを外し、肥満や血圧、画像検査所見等でA判定にならなかった方も除外してから検査値を集めます。そして検査値の低い方から順に並べて真ん中の95%の範囲を基準範囲として定義しています。これだと、ピュアでない方が混ざる可能性が極めて少ないので共通の物差しとして活用できます。当会は日本臨床検査標準協議会(JCCLS)と共同してこれにより基準値が標準化され、全国で検査データを同じ尺度で判断できるようになってきています。脂質や尿酸、血糖、HbA1cは、各々の専門学会が独自の基準値を提唱しており一般的に認知されています。これらは、先に記した基準値や基準範囲とは求め方・考え方が異なるものであり、この値を超えたら疾患の可能性が高いよ… 基準範囲よりかなり厳しい値となっています。といったカットオフ値のような意味合いのものであり、臨床検査技師とは…聴力の検査は一般的に125Hz(低い音)から8000Hz(高い音)までの7種類の高さの音の聞こえを調べます。この検査により難聴があるかどうかや、難聴の程度がわかります。ほかに日常的に使われる「ア」や「キ」などの語をどれだけ聞き取り、聞き分けられるかを調べる聴力検査もあります。聴力の健康状態を管理するためには医療機関で聴力検査を受けることが大切です。聴力検査は私たち臨床検査技師の大切なお仕事の一つです。聴力「検査値判断の物差し」臨床検査技師のつぶやき32項目の共有基準範囲を設定しています。ピペトン臨床検査技師のお仕事を広く周知させるべく誕生した基準範囲ピペ子マスコット。本誌に登場し、わかりやすく解説してくれます。Pipetteマスコットキャラクター

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