半生を描いた作品で、私はみすゞの役をやりました。お母さん役は池内淳子さんでした。それまで石井ふく子先生とは、「渡る世間は鬼ばかり」のプロデューサーとキャストという立場で、お話しする機会もあまりなかったのですが、演出家と役者というところで、いろんなことを教えていただき、親しくさせていただくようになりました。他にも「おんなの家」や「女たちの忠臣蔵」などたくさんの作品でご一緒させていただきましたが、先生から頂いた役は、全てほんとにもう一度やりたいし、ほんとにみんなに見ていただきたい作品ですね。―役づくりは大変だと思います。体調管理にも気を付けておられると思いますが、特に気を付けておられることはありますか。舞台ですと長丁場になりますので。その辺いかがでしょうか。 舞台の時は、うがい、手洗いをすごく小まめにやっています。舞台というのは想像以上に、ほこりっぽいのです。ですから、舞台に出て、楽屋に戻ると必ずうがい、手洗いをすることにしています。うがい、手洗いは病気の予防の基本だと信じています。―ありがとうございます。今まで演じられた役の中で一番難しかったのはどのような役でいらっしゃいますか。 私は、演技をする事を「難しい」とはあまり思わないですね。いつも楽しいですよ。どんな役でも楽しくというか、興味深くて、難しいという感覚が分からないかもしれません(笑)。―舞台やお芝居でのせりふを覚えるのは大変と思います。私は、文字ですと台本が映像に残ってしまうので、録音したものを聞いて、抑揚を付けない状態の言葉だけを覚えて、現場で合わせるみたいな感じですが、藤田さんはどのようなことをされていますか? 私もいろいろやっていますよ。例えば、方言があるせりふを覚えるのに、録音したものを聞いたり、せりふを自分の気持ちで読みやすいように自身で書き直したりもします。あと、動きながらも覚えやすいかもしれません。座って覚える方もいらっしゃるみたいですけど、壁に向かってしゃべる、―私自身、地元で舞台や映像の作品、特に時代劇などにも出演していますが、演技するにあたり、何か良いアドバイスを頂けますか? お芝居はキャッチボールです。感情を投げて、それを受け取る。受け取り、感じたことを、また相手に投げる。この繰り返しです。言葉の裏にある想いを汲むことも大切です。単純であり、深い。そこが演じる楽しさだと思います。―藤田さんといえば、やっぱりTBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」のシリーズで役どころの変遷もすごいですが、岡倉家の五女、本間長子役がはまり役だと思っております。実際の藤田さんと本間長子はかぶったりしていたのでしょうか。 長く演じてきましたので、私イコール長子というイメージがあると思いますが、私の性格と長子の性格はかなり違います。でも、演じているのにそう見えているのであれば、それは役者冥利(みょうり)に尽きる感じです(笑)。―今までの女優人生の中で、特に印象に残っている役どころとかはおありでしょうか。 石井ふく子先生が演出された「空のかあさま」という金子みすゞさんのお母さんの役作りや体調管理Guest:藤田朋子4|PipetteThe interview
元のページ ../index.html#5