パンケーキ症候群を起こすダニの種類としては、チリダニ科・コナダニ科のダニ(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、ケナガコナダニ)等があげられます。世界中でダニの種類は、5万種くらい知られています。マダニ類のように1cmに達する大きさのものから0.1 mm以下のものまで様々です。ダニの種類や条件によって、成長のスピードや寿命は異なりますが、ヒョウヒダニの場合、卵から成虫になるまで約1ヵ月、成虫の寿命は約2〜3ヵ月と言われています。基本、ダニの繁殖時期は6月〜8月と言われています。一般的に室温20〜30度、湿度60%以上の高温多湿な環境を好みます。布団、枕、畳、カーペット、ぬいぐるみ、またフケやアカ、髪の毛、食べ物のカスなどエサとなるものがある場所を好みます。人を刺すことはありませんが死骸やフンを吸い込むことでアレルギー性疾患になる可能性があります。加熱することで死滅しますが、死骸が残るためにアレルゲンとなります。調理粉の使い残しは冷蔵庫(開封後冷蔵保存)で保存し、早目に使い切ることが原則です。低温ではほとんど繁殖しません。たとえ、未開封でも常温で長期間放置すると繁殖することがあるようなので要注意です。ダニはさまざまな食材の成分が入った調理粉を好み、わずかな隙間から侵入し、長期間室温に置くと大量に繁殖します。たとえ十分に加熱しても、ダニの死骸や排泄物などがアレルゲンとなり、アレルギー症状が出ることがあります。家の中から100%排除するのはほぼ不可能です。どれくらいのアレルギー症状を持っているのかをチェックできるアレルギー検査を受けておくと良いでしょう。アレルゲン検査とは、アレルギーの原因物質であるアレルゲンに対して反応するIgEの量を調べることで、アレルギーの有無や程度を調べる検査です。原因となるアレルゲン(ダニ等)を身近な環境から遠ざけることはもちろんのこと、アレルゲンに対して、体を少しずつ慣らしていく「アレルゲン免疫療法」という治療法もあります。錠剤や注射薬によって体内にアレルゲンを投与し、3〜5年程度かけてアレルギー反応を起きにくい体質にしていく方法もあります。 小麦粉・米粉・そば粉などを材料にしてつくられるお好み焼きやたこ焼き、ホットケーキなどの食べ物は、一般的に「粉もの」と呼ばれ、家庭でも簡単に作ることのできるおやつの代表格です。その主成分は小麦粉を主材としています。余ってしまうと輪ゴム等で封をし、普通に室温で保管されていたりします。 開封から長期間保存していた粉を使い調理し食べたところ、急な呼吸困難に陥って救急搬送される人がいます。最悪の場合命を落とすこともあります。このような急性のアレルギー症状をパンケーキ症候群とも呼びます。 原因は、保存されていた粉の中に大量のダニが繁殖し、それらを口にしたためにアレルギーを起こすと言われています。自身にダニによるアレルギーがあることを知らずに、ダニが繁殖した料理を食べたことから、アナフィラキシーショック(全身のアレルギー反応)を起こすと推定されています。特に、喘息を持っている人は発作による呼吸困難も生じやすく、速やかな対応が必要です。呼吸器症状の他にも湿疹や腹痛、下痢や嘔吐、顔面紅潮、眼球充血等があることがあります。アトピー性皮膚炎や、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、ハウスダストアレルギーの既往歴がある人は気をつけてください。ダニ特異的IgE抗体価が高値を示すことが多いです。パンケーキ症候群ダニが原因パンケーキ症候群の予防パンケーキ症候群の治療10|Pipette チリダニコナダニツメダニイエダニマダニダニの大きさ比較血を吸った後は倍以上膨れます!約0.2〜0.5mm約0.3〜0.5mm約0.3〜0.8mm約0.7〜1.0mm約2.0〜4.0mm
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