Pipette vol.44 2024.7 Summer
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れたからこそ伝えられるっていうことはあると思っています。(笑)白血病で移植時には、体を清潔にしなければいけないのでシャワーを毎日浴びるわけですが、治療の過程で血が止まりにくくなっていて、滑って転んで頭を打ったら命に関わることなど、治療を進めていく中では想像もできないような壮絶な状況だと思います。きっとスタッフの皆さんは、治そうと思って一緒に頑張ってくださっていると思うので、そこに乗っかれるといいのかなと思います。でも、私自身も気持ちは揺れ動いていまして、「そうじゃない」とか、「そういうふうに思えない」という時期ももちろんありました。―きっと私以外にも勇気づけられる新たな熱心なリスナーが増えると思います。 岡村さんは音楽以外にも様々な社会活動に積極的に関わっておられます。今後、どのような活動をお考えになられてますか?その一端をお聞かせいただけませんか?まだ体が元通りではないのですが、まずは、元通りに近づいて音楽を創作し、届けていけるといいなと思っています。社会活動というのは本当に年に1回やそんな感じなのですが、自分の闘病にまつわるお話や取材など、去年は血液内科学会の市民公開講座をさせていただきました。私に何か、今一緒に同じような病気で闘っていらっ    * しゃる方のお役に立つことができるのであれば、お話をするとか、そういうことぐらいです。―やはり、そういった岡村さんのような立場の方からいろいろな方の耳に伝わっていくのは、すごく大事なことだと思います。 最後に、私共は臨床現場で働く臨床検査技師の職能団体です。全国に7万人の会員がおります。そのうち約7割が女性会員です。今回、岡村さんがゲストということで、働く女性、そして自分らしく生きる女性、子育てに一生懸命な女性、いろいろな意味で目標であり私共の代弁者であると思っています。そこで是非、全国の臨床検査技師のためにメッセージをお願いしたいです。自分が病気をして、「健康は財産です」ということを治療担当の先生に言われました。全くその通りだと思っています。皆さんも本当にお体に気をつけてお仕事をしていただければと思います。入院していると、いろいろな検査をしますので、現場で働いている医師以外のスタッフの方々を見る機会があって、「ああ、忙しそうだな」というのを感じたので、特にお体を大切に頑張ってください。それと、女性技師の方がいらっしゃると、凄くほっこりした気持ちになり安心できるので、そういう空気を私たち患者に与えていていただけると大変ありがたいと思っています。―ありがとうございました。私たちも心して仕事に向き合っていけたらなと思います。大病をしたとは思えない明るさでお話を聞かせてくれた岡村孝子さん。闘病中に心がけていたという、みんなが周りに集まりたくなるような空気感は、まさに今を楽しんでいるように思えました。次回は、歯に衣着せぬハッキリした物言いで、テレビ・ラジオ等で活躍する大竹まことさんをお迎えいたします。インタビューを終えてこれからの夢6|PipetteThe interviewプロフィール:1982年“あみん”として「待つわ」でデビュー。1985年ソロデビュー後、1987年にリリースされたシングル「夢をあきらめないで」はロング・セールスを記録。この曲は中学校の音楽の教科書にも広く採用されるなど、今でも多くの人々に親しまれている。1988年にリリースされたアルバム「SOLEIL」から6作連続アルバムチャート1位を記録。誰もが共感を覚えずにはいられない世界観、紡ぎ出されるメロディーと歌詞には時代の流行り廃りとは無縁の普遍的なテーマが宿る。2019年4月、急性白血病を公表(臍帯血移植後完全寛解を経て同年9月退院)。2022年5月、Blu-ray「ENCORE Ⅸ」(2021年9月に行われたソロデビュー35周年記念&復帰コンサートの模様を収録)をリリース。シンガーソングライター岡村 孝子Takako OkamuraGuest:岡村 孝子

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