神経は、脳や脊髄といった「中枢神経」と、中枢神経から分かれて全身に広がる「末梢神経」の大きく2つに分類されます。ギラン・バレー症候群は、末梢神経の傷害によって、力が入らない、感覚がわかりにくい、しびれるなどの症状を起こす病気です。ウィルスや細菌による感染症などをきっかけにして、免疫のシステムが異常になり、自己の末梢神経を障害する病気と考えられています。約60%の患者さんには抗ガングリオシド抗体という自己抗体が認められます。人口10万人当たり年間1〜2人が発症すると推定されていて、男性がやや多い傾向があります。診断するには、神経内科医が詳しく診察したうえで必要な検査を行います。検査には、血液検査・脳脊髄液検査・神経伝導検査などがあります。血液検査は自己抗体を調べます。脳脊髄液検査では、髄液内のたんぱくが増加し細胞数は正常という変化がみられることが多く、診断の根拠になります。神経伝導検査は、皮膚の上から末梢神経を電気刺激して、末梢神経が正常に機能しているかを判断する検査です。治療は、免疫グロブリンという薬を5日間連続で点滴する治療や、血液中の病気に関係する物質を取り除いてから体内に再度戻す治療を行います。症状は良くなったり悪くなったりはせず、ピークを過ぎれば改善しますが、重症例では回復までに長期間を要することもあります。生活上の注意や予防法は特にありません。感染症状の1〜3週間後に急速に脱力が出てきたら早期に病院を受診し専門医の診察を受けるようにしましょう。脳波検査「ギラン・バレー症候群」臨床検査技師とは… 脳(人以外の動物でも)は、神経活動を行うことによって常に微弱な電気を出しています。その微弱な電気的変動を波形としてとらえ、脳の働きを調べるものです。人の場合の検査目的としては〝てんかん、脳血管障害、脳炎、脳腫瘍等〞の治療に役立てられています。また、臓器移植などのための検査項目の一つとして脳死判定なども行われているところです。臨床検査技師のつぶやき1ピペトンピペ子Pipetteマスコットキャラクター臨床検査技師のお仕事を広く周知させるべく誕生したマスコット。本誌に登場し、わかりやすく解説してくれます。
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