こんなところで働いています 臨床検査技師職場Map

病院

救急医療や高度な医療を行う病院、地域に根ざした病院があります。そこでは、数名〜100名程度の臨床検査技師が勤務し、24時間体制で各種の臨床検査を実施しています。勤務する臨床検査技師はさまざまな緊急検査に対応できる幅広い検査技術や知識とともに、専門分野に関する技術と知識を兼ね備えています。

クリニック

小規模の医療機関では、勤務する臨床検査技師は数名ですが、医療機関の機能に応じた検査全般に関する幅広い知識と技術を身につけ、検体検査や生理機能検査などの各種の臨床検査を担当しています。

健診( 検診)センター

健康管理や病気の早期発見に臨床検査は不可欠です。各地の健診(検診)センターで多くの臨床検査技師が国民の健康管理に貢献しています。

臨床検査技師の資格を生かせる職場は、病院をはじめとして、病床を持たないクリニックや健診(検診)センター、分析検査を専門に行う臨床検査センター、医療関係の研究施設など、多岐にわたっています。また、臨床検査に関する知識を活用して、臨床研究コーディネーターや薬剤メーカーなどの企業、保健所などにも活躍の場があります。

いずれの場合も、精度の高い検査はもちろんのこと、常に迅速で精確な検査結果を提供し、専門的な知識と技術でさまざまな要望に応え、医療の質の向上に貢献しています。

臨床検査センター

地域の健診(検診)施設や開業医からの検体を集結し、分析するのが臨床検査センターです。大量の検体を処理するとともに、病院では対応できない特殊な臨床検査も行います。各種の検査が正確に分析されているか、常にデータを確認するとともに、医師や病院からの検査に関する問い合わせにも対応します。

医療機器メーカー

医療機器メーカーでは、検査に必要な各種医療機器の開発や安全管理、保守点検・試料の品質管理などを行っています。また、全国のどの病院、どの検査センターで検査を行っても常に同じ結果になるように、検査の標準化にも取り組んでいます。

臨床研究コーディネーター(CRC)

CRCは、臨床研究や新薬の治験(効果を確認する臨床試験)に対して、倫理的・科学的に信頼性があることを保障するため、試験の手順や正当性、被験者の同意などの確認などを行います。さらに試験データの記録、症例報告書の作成など、治験の開始から終了までを幅広く支援する専門職です。

CRCの活躍によって、新薬の安全性や有効性が担保され、いまだ治療法がなく苦しんでいる患者さんに、より安全で効果の高い治療法が届けられます。

臨床検査って何?

検体検査と生理機能検査(生体検査)があります

検体検査

人体から採取した血液、尿、喀痰、組織、細胞、体腔液などの検体を用いて調べます。精度を保証 し、正しい検査結果を提供するためには、採血・採取*から検査、結果報告までのすべてを臨床 検査技師が行っています。さらには検査についての説明・相談も担当業務の一部です。

正しい検査は正しい検体採取から*注

臨床検査技師は、これまで診療の補助として患者さんから採血するという検体採取業務を行ってきま した。さらに2015 年より、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、咽頭拭い液、口腔の粘膜、口腔の病変部位の膿、 綿棒を用いて肛門からの糞便、表皮並びに体表を採取する行為(生検のためにこれらを採取する行為を 除く)、皮膚並びに体表の病変部位の膿、鱗屑(りんせつ)、痂皮(かひ)、その他の体表の付着物などの 検体採取も担当することになりました。この業務拡大については、厚生労働省の指定を受けた日本臨床 衛生検査技師会が主催する講習会を修了することが必要です。

微生物学的検査

微生物学的検査は、採取した便、尿、膿、喀痰、咽頭ぬぐい液などを培養し、感染症の原因となる微生物を特定するとともに薬に対する感受性(効き具合)を検査します。

血液学的検査

血液中の血球成分(白血球、赤血球、血小板)の数や形態、機能を検査します。 貧血の種類や白血病をはじめとするさまざまな血液の病気を見つけることができ ます。また、血液を凝固させたり、凝固させすぎないようにしている成分を分析 したりすることにより、身体の中で起こっている病態を確認することができます。 血液をサラサラにするお薬の効果も見ることができます。

生化学的検査

生化学的検査は、血清(血液を凝固させて遠心分離した上澄み)や尿を分析して、血液中の酵素、脂質、糖質、無機質、ホルモンなどを測定し、体調の変化や臓器の異常を把握します。
肝機能検査、腎機能検査、脂質検査、糖尿病検査など、多くの分析項目があります。

一般検査

一般検査は尿、便、体腔液(胸水、腹水等)などを調べる検査です。尿の検査では腎臓や泌尿器系臓器の状態、膀胱や尿道にできた腫瘍の種類などについても調べることができます。
便の検査は「便潜血検査」と「寄生虫検査」が主なものです。体腔液の検査は、感染症や腫瘍鑑別などの診断に役立ちます。

輸血・造血幹細胞移植関連検査

輸血検査には、輸血を行うために必要な血液型検査や交差適合試験(輸血する血液が患者さんの血液と適合するか否かの検査)、不規則抗体検査(輸血や妊娠によって産生することがあるABO式血液型以外の赤血球抗原に対する抗体を検出する検査)などがあります。
そのほか輸血用血液の保管管理・供給、自己血、末梢血幹細胞移植に係わる業務も行っています。

検体検査

免疫血清学的検査

免疫血清学的検査は、血液中の抗原や抗体反応を利用して感染など免疫(身体に侵入してくる異物を排除する仕組み)に関係する病気を診断する検査です。肝炎ウイルス、梅毒、関節リウマチ、膠原病などの診断には欠かせない検査です。腫瘍マーカーの検査では、がんの存在や治療効果、再発のチェックなどを見ることができます。

病理・細胞診検査

病理・細胞診検査は、病理組織検査と細胞診検査に分けられます。
病理組織検査は患者さんの体から採取された臓器・組織を用いて顕微鏡観察用のガラス標本を作製します。作製した標本は病理医により観察・診断が行われ、病気の最終診断がなされます。
細胞診検査は、尿や喀痰などに含まれる細胞や、子宮頸部や気管支などからこすり取った細胞、乳腺・甲状腺などの臓器に細い針を刺して採取した細胞から標本を作製し、悪性細胞の有無を調べます。

遺伝子・染色体検査

ヒトの体は約60兆個※の細胞からできており、細胞の核の中には、2重ラセン構造のDNAが折り重なって入っています。DNA中の決まった場所に遺伝子があり、体を構成するタンパク質の合成に関与するなど、ヒトが生きていくために必要な基本的な情報が保存されています。遺伝子・染色体検査によって、生まれつき持っている体質や、生まれたあとに生じたDNAの変化を調べることで病気の診断を行います。最近では、がんの治療薬などが体質的に効きやすいかなど、治療効果の予測などにも応用されています。
新型コロナウイルスを検出するためのPCR検査はこの遺伝子検査を応用して微量の遺伝子(DNA)を増やして検出しています。実際には新型コロナウイルスはRNAウイルスですから逆転写(RNA→DNA)を行ってからPCR検査を行っています。
※ 人の細胞数は約60兆個、約37兆個あると諸説あり。

生理機能検査(生体検査)

超音波検査、心電図(循環器系)検査、脳波検査、呼吸機能検査、聴力検査、味覚・嗅覚検査、熱画像検査、MRI検査、眼底写真検査などがあり、患者さんの体から直接情報を記録して、体の状態を調べます。

超音波検査

超音波検査は、人の耳に聞こえる音の周波数よりさらに高い音である超音波を用いて体内の組織を画像化し、異常の有無を判断します。この検査では心臓や、肝臓・胆嚢・脾臓・膵臓・腎臓などの腹部臓器、乳腺・甲状腺などの体表臓器、大動脈などの血管系、膀胱・子宮などの骨盤内臓器といったあらゆる臓器の観察に用いられます。また、胎児のスクリーニング検査にも有効的です。

心電図 (循環器系) 検査

循環器系検査は、心臓や血管など全身の血液循環に関する状態を調べる検査です。心臓の拍動を電気現象として捉える心電図検査では、心臓の脈の乱れや狭心症などの病気がないかを調べることができます。また、心臓の拍動によって発生する脈圧や心音を波形として記録し、心臓や血管系の機能を評価します。動脈硬化の程度も確認でき、メタボリックシンドロームなどの予防にも役立っています。

脳波検査

脳は眠っているときも目覚めているときも、微弱な電気を出し続けています。その電気信号を増幅し記録するのが脳波検査です。また、睡眠時無呼吸症候群の重症度判定や、脳死の判定などに利用されています。てんかん発作が疑われる患者さんには、光や音、深呼吸などいろいろな刺激を与えて脳の反応を調べます。

熱画像検査

熱画像(サーモグラフィ)検査は、皮膚の表面温度を測定し、末梢循環不全、麻痺による体温の左右差の有無、皮膚疾患や血管腫等の周辺部との温度差などを調べます。体表面の温度差は色の違いで表示されます。

生理機能検査

MRI検査

MRI(Magnetic Resonance Imaging= 磁気共鳴画像診断装置)検査は、磁気の力を利用して体の臓器や血管を撮影し、病巣を調べます。脳、脊椎、四肢、子宮、卵巣、前立腺などの病変の発見・診断に有効です。

眼底写真検査

眼底写真検査は、瞳孔の奥にある眼底を眼底カメラや眼底鏡を用いて観察し、網膜剥離、眼底出血、緑内障などの目の病気を調べます。また、眼底の血管は体の中で唯一直接血管を観察できる部位のため、動脈硬化、脳腫瘍などの病気が推察でき、生活習慣病の検査としても有効です。

呼吸機能検査

呼吸機能検査とは、息切れ、呼吸が苦しいなどの症状があるときに、呼吸器(肺・気管など)の状態を調べるために行われる検査です。呼吸の際に、空気の出し入れが上手くいっているのか? 肺で酸素の取り込みが上手くいっているのか? などが調べられます。
肺の病気の診断・重症度を調べる場合や、治療効果の成果を見るときにも行われます。

聴力検査

聴力検査は耳の聞こえを調べる検査です。高い音から低い音までのいろいろな周波数の音を聞いて、その音がどのくらいの大きさまで聞こえているかを調べます。ヘッドフォンや振動子で音を伝えます。また、言葉をきちんと捉えられるかを調べる聴力検査もあります。

味覚・嗅覚検査

味覚検査は、電気味覚計を使い味覚を測定する電気味覚検査と、味がついている紙を舌の上に置いて感じた味を回答してもらう濾紙ディスク法検査があります。
嗅覚検査は、5種類の基準臭のにおいを嗅ぎ分けられるかを調べる基準臭覚検査と、ニンニク臭を感じるようになる注射液を静脈に注射して、ニンニク臭を感じ始めてから消えるまでの時間を測定するアリナミンテストがあります。

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