臨床検査に係るJCCLS臨床検査共用基準範囲の採用について

当会では、国民の疾病予防および健康管理・増進を支える臨床検査の信頼性を確保することを目的として、「精度管理調査事業」、「臨床検査データ標準化事業」および「各種研修事業」等を積極的に展開しています。臨床検査データが様々な疾病の診断や、健康管理に有効に活用されるためには、そのデータの信頼性が十分に保証されている必要があるからです。一昨年(2017年)6月、医療法等の一部を改正する法律(平成29年法律第57号)が制定され、各医療機関で行われている臨床検査の信頼性を確保することが法的に求められることとなりました。

当会では、1965(昭和40)年より臨床検査外部精度管理調査を本格的に開始しており、現在では、参加施設が4,200施設を超えています。この調査における成果は、国内における臨床検査データの施設間差を確実に小さくしており、全国的な標準化が確実に浸透してきたことを示しています。勿論、その陰には、医療機器ならびに試薬の進歩、さらには各臨床検査現場における日々の内部精度管理の実践が功を奏していると言えます。

当会は、2005(平成17)年度より、臨床検査の標準化に関する事業を展開している特定非営利活動法人日本臨床検査標準協議会(JCCLS)と連携して、「いつ、どこの機関で臨床検査が実施されようとも、信頼性の高い検査結果が得られる」ことを目標に掲げ、臨床検査の標準化事業を進めてきました。

2011(平成23)年度、日本臨床化学会内に基準範囲共用化WG(日本臨床検査医学会、日本臨床衛生検査技師会、日本臨床化学会、日本検査血液学会委員)が設置され、共用基準範囲が検討された。翌2012(平成24)年には共用基準範囲が設定され、パブリックコメントを経て、2014(平成26)年3月には共用基準範囲が公表されました。2015(平成27)年、JCCLSより当会に対して正式に共用基準範囲の普及への協力要請があり、当会では都道府県技師会・各施設長あてに協力要請、および普及活動を展開してきたところです。同基準範囲は、2019(平成31)年に承認文書として改めて公開され、2020(令和2)年2月には、ALPおよびLDの常用基準法改定に伴い、両基準範囲の追記した共用基準範囲が示されたところです。同基準範囲については、当会以外にも日本医師会をはじめJCCLS会員の29学会・団体の同意あるいは賛同が得られています。同基準範囲は、大学病院や国立臨床検査技師協会等を中心に採用が拡がっています。

医療の地域連携システムの構築とマイナンバー制度の導入に伴う「国民の健診検査データの活用」など、医療機関における検査データの統一が求められることが考えられ、これらの臨床検査情報を正確かつ有効に利用するためには、その統一の判断基準が必要であり基準範囲の共用化が望まれています。
別添の共用基準範囲をご覧の上、JCCLS共用基準範囲の採用についてご高配賜りますよう、お願いいたします。
なお、詳細は、JCCLSのホームページをご覧ください。

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