本研究の目的

本研究の目的は、厚生労働省医政局医事課が所管する医療関係職種の養成教育において、質の高い人材育成を支える教育体制の在り方を探るため、「遠隔授業の在り方」と「第三者評価の方法」という職種横断的な課題について実態を整理・分析することである。特に令和6年度は、令和2年度以降の新型コロナウイルス感染症の影響で急速に普及した遠隔授業に注目し、その活用実態と課題、教育的有効性、職種特性との関係性などを明らかにすることを目的とした。対象職種は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士とし、各職種の分担研究班と連携しながら調査を進めた。令和7年度以降は、柔道整復師を中心に「第三者評価の方法」に関する検討を進め、将来的には教育の質保証や制度設計につながる共通の評価基準の構築を目指す。

研究課題
医療関係職種の養成教育における課題解決に資する研究
課題番号
24IA1016
研究年度
令和6(2024)年度
研究代表者(所属機関)
板橋 匠美(日本臨床衛生検査技師会 政策調査課 / 東京医療保健大学 総合研究所)
研究分担者(所属機関)
松熊 秀明(森ノ宮医療大学 医療技術学部)
伊藤 譲(日本体育大学 保健医療学部)
児玉 直樹(新潟医療福祉大学 医療技術学部)
坂本 秀生(神戸常盤大学 保健科学部)
工藤 元嗣(日本医療大学 保健医療学部)
研究協力者(所属機関)
岡山 雅哉(日本医療大学 保健医療学部)

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日臨技の役員等が関係し実施した内容

<令和6年度>遠隔授業の導入・活用に関する現状と課題について

医療需要の変化やチーム医療の推進に伴い養成教育の見直しが進む中、COVID-19の影響で遠隔授業が急遽導入された。本研究は、厚生労働省医政局医事課所管の医療関係職種に共通する課題である「遠隔授業の在り方」と教育の質を保証する「第三者評価方法」を整理し、教育の質向上と政策形成に資することを目的とする。
令和6年度は遠隔授業に焦点を当て、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士の養成学科を対象に全国調査を実施。6割は実施経験がなく、導入例は基礎・講義科目が中心であった。有効例としてオンデマンドとリアルタイムを組み合わせたハイブリッド形式が挙げられる一方、実技科目の不適合、学生集中力の低下、教員ICT能力格差が課題となった。
職種特性として、実技重視の職種では理論科目限定の導入が多く、臨床検査技師など機器操作を伴う職種では、シミュレーション教材や講義共有など広域的教育連携による補完活用が評価された。遠隔授業は補完的手法として有効性があり、職種特性に応じた柔軟な運用が求められる。

研究代表者:板橋 匠美(政策調査課 主幹)

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