本研究の目的

既に基礎資料がある医師・薬剤師・看護師・理学療法士・作業療法士以外の医療職種について、働き方改革を推進する上で、医師からのタスク・シフト/シェアの推進に資する基礎資料としての実働人数の現在と将来の需給関係の推計とその推計式の構築を行う。
またこのために、医療機関における@実働人数などの把握、A医療機関での需給推計による今後の見通しを提示する。

研究課題:
医療専門職の実態把握に関する研究
課題番号:
21IA2008
研究年度:
令和3(2021)年度から令和5(2023)年度
研究代表者(所属機関):
小野 孝二(東京医療保健大学)
研究分担者(所属機関):
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学)
岡本左和子(公立大学法人奈良県立医科大学)
西岡 祐一(公立大学法人奈良県立医科大学)
研究協力者(所属機関):
丸田 秀夫(一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会)
板橋 匠美(一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会/東京医療保健大学)

本研究に関するすべての公開情報のホームページへのリンクです。

日臨技の役員等が関係し実施した内容

<令和3年度>
臨床検査技師の実働人数把握のための推計式構築について

各職能団体として把握する情報を個人情報保護のもとで研究班に提供し、人口動態統計における性年齢別死亡率や臨床従事割合と掛け合わせた臨床検査技師の実働人数の推計をする支援をした。
その結果、臨床検査技師の供給は増加する傾向にある一方、人口構成の変化から需要の増加は次第に抑えられ、2030年頃から減少傾向に転じるという将来予測が得られた。

研究協力者:丸田 秀夫(令和4・5年度代表理事副会長)

<令和4年度>
医療機関における臨床検査技師の将来の需給バランスの推計について

臨床検査技師の現状認識と将来のタスク・シフト/シェアも見据えて、研究班との協議の上で将来の医療の分野に限定した需給バランスの想定シナリオを作成した。
その結果、臨床検査技師の将来の需給バランスは、2018 年の需要=1:供給=0.6と想定すると2037 年頃に交差、需要=1:供給=0.65と想定すると2033年頃に交差、需要=1:供給=0.7では2031年頃に交差する結果と推計された。
このことを踏まえ、臨床検査技師の将来の需給バランスは、医療の分野に限定し、おおよそ 2031 年頃から 2037 年頃に供給過剰となる将来予測結果となった。

研究協力者:丸田 秀夫(令和4・5年度代表理事副会長)

<令和5年度>
臨床検査技師業務の医療分野における需給予測と
タスク・シフト/シェアを実現させて医師の働き方改革を支える事例について

昨年に得た知見を基礎に関係各所において公開されているデータを加味することで、医療分野における臨床検査技師業務の需給予測をより妥当性ある需給推計として更に詳細に把握できるよう算出した。加えて、当該改革の一助として臨床検査技師へのタスク・シフト/シェアを行うにあたり、多くの医療機関が参考にできる導入事例を挙げ、タスク・シフト/シェアに向けた汎用性ある調整の仕方や指標について周知することで、当該職種による更なる推進の一助とした。
その結果、総人口の減少等の影響に伴い、将来臨床検査件数は減少することが示された。需給予測では、近い将来には臨床検査技師が過剰な状態となることが強く示唆された。
加えて、急速な技術革新とAI等の活用を含んだDXにより自動化・省力化が進み、臨床検査技師の過剰状態の到来がさらに早まることも念頭に置いておく必要がある。

研究協力者:丸田 秀夫(令和4・5年度代表理事副会長)
研究協力者:板橋 匠美(政策調査課 主幹)

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